(※写真はイメージです/PIXTA)
カスハラで休職へ…社会に求められる「現場を守る仕組み」
その日を境に、アヤノさんの心の糸はぷつりと切れてしまいました。数日後、出勤しようとすると涙があふれ、動悸が止まらなくなり、区役所へ向かうことができなくなってしまったのです。心療内科を受診したところ、過度なストレスによる心身の不調で、しばらくの休養が必要と診断されました。アヤノさんは診断書を提出し、休職することを選びました。
「同僚に迷惑をかけるのではと悩みましたが、あのまま窓口で理不尽な言葉を真っ向から受け止め続けていたら、本当に自分が壊れていたと思います」
アヤノさんのように、カスハラによって心身を病んでしまうケースは少なくありません。しかし、たとえ休職を選んだとしても、決して自己責任ではありません。東京都産業労働局による調査でも、カスハラ被害を受けた従業員の心身への影響として「怒りや不満、不安などを感じた(84.3%)」「仕事に対する意欲が減退した(52.1%)」「眠れなくなった(13.7%)」といった声が挙がっており、実生活に支障をきたしていることがわかります。
また、カスハラを受けたにもかかわらず「なにもしなかった」と答えた人のうち、半数以上(54.9%)が「なにをしても解決にならないと思ったから」と回答しており、被害を受けても諦めてしまっている実情が伝わってきます。
真面目な従業員が一人で理不尽な要求を抱え込み、孤立して潰れてしまうのを防ぐためには、組織としての対策が不可欠です。同調査の企業向けアンケートによれば、被害に遭った従業員のケアとして「上司や同僚によるサポート(91.2%)」や「現場における対応の引き継ぎ(82.1%)」、「相談できる窓口の整備(79.7%)」といった取り組みをすでに多くの企業が実施しています。
同時に、従業員が行政に求める支援策として「社会全体や企業等に対する啓発や教育(70.2%)」がトップに挙げられているように、「お客様(住民)だからなにをいってもいい」という社会の風潮自体を変えていく必要があります。
理不尽な要求には組織全体で毅然と対応し、傷ついた従業員をサポートする「現場を守る仕組み」づくりが、すべての事業者に求められています。
[参考資料]
・東京都産業労働局「令和7年度 カスタマーハラスメントに関する実態調査」
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