※株式会社アーキテクト・ディベロッパーは、2026年5月1日付で「帝国不動産株式会社」に社名変更しました。
都市間競争を勝ち抜き、「日本の暮らし」を世界へ輸出する

自分の未来が楽しみに思えること、これそのものが人の生きる意味だと私は思っています。新しい景色が見られることに人の心は動かされるのです。挑戦し続け、成長していくことが良いキャリアであり、良い人生だと考えています。
ディベロッパーの視点で都市間競争を見ると、アジアの金融ハブであるシンガポールや香港の強みは「税制」にあります。東京も中央区、港区、渋谷区などに特区を作り、外国人に限定して同等の税制を導入してはどうでしょうか。食事や文化、四季など東京の魅力は十分ですが、税制にも魅力がなければ海外から人は惹きつけられません。
実際、数年前からイタリアのミラノが上限額約5,000万円の所得税制を外国人に限り導入し、ヨーロッパ中の富裕層が集まる非常にホットな街になっています。フランスのような富裕層への課税や、かつて富裕層が集まったイギリスなどから、住む場所を自由に選べる人々が移動しているのです。東京をアジア一の金融ハブにしたいなら、インフラ整備だけでなく、富裕層がファミリーオフィスを置く決め手となる税制面での対応が不可欠です。
また、当社にも外国籍の社員がいますが、私たちが提供する物件管理や、日本の質の高い暮らしをアジアでも展開したいというニーズは非常に多いです。かつて中国の人々が世界中にチャイナタウンを作り「中国」を輸出してきたように、私たちも「日本の暮らし」を輸出できると考えています。
世界各地にあるリトルトーキョーは日本の飲食店が集積しているに過ぎませんが、日本特有の清潔感や犯罪率の低さといった「日本の暮らし方」をそのまま体験できる街を作れれば、インバウンドで日本の良さに感銘を受けた方々のニーズを満たせます。建物を建てるだけでなく、暮らしの質まで含めた輸出事業は、世界から高い需要が見込めるインパクトのある取り組みになります。
合理的な判断を積み重ね、新たな事業領域へ挑戦する

業績面では、「帝国不動産」と社名変更したからといって、直ちに国家プロジェクトを手掛けたり他社と無理に差別化したりするような焦りは不要だと考えています。不動産会社は勢いが出やすい反面、見えないプレッシャーから無理な拡大をして破綻するケースが過去に多くありました。バブル期や2000年代の新興ディベロッパーが景気の波に耐えられずに消えていったように、エポックメイキングな出来事を無理に狙うのではなく、目の前のビジネスチャンスに淡々と合理的な判断を下していくことが大切です。
当社は前期が約25%、今期も35%〜40%程度の経常利益成長率を見込んでおり、その前は3倍に成長しました。このように毎年2割から3割の成長を複利で続ければ、10年、20年の間に企業規模は計り知れないものになります。ブランドと志を持った人材が集まれば、大きな成長が可能なのが不動産や建設の世界です。売上約1,000億円という当社の規模からでも、巨大なマーケットのなかでは十分に2桁成長を続けることが可能と考えます。
また、建築機能の強化も間違いなく進めていきます。現在は売上の大半が鉄骨アパートですが、建築や不動産の市場は幅広く、私たちがアプローチしているのは全体の1〜2%のマーケットに過ぎません。建築機能が広がれば、オフィスビルやホテル、データセンター、商業施設など残り98%の市場にもアクセスできるようになります。派手さはないかもしれませんが、一つひとつの判断を丁寧かつ合理的に行い、事業領域を広げていくことは非常に意義が大きいと考えています。
「帝国不動産」のロゴタイプについては、社名が非常に重厚になったため、実績のあるアートディレクターの葛西薫氏に制作を依頼しました。「帝」の文字をモチーフにしたロゴは、王冠のようにも、大きく育つ木のようにも見えるデザインです。若くて活気のある当社の社風を反映したスタイリッシュな表現に仕上げていただき大変気に入っています。
今後の事業展開としては、ハイエンドな「戸建て」のプロジェクトを計画しています。東京のマンションは世界的に見ても価格や品質で遜色ありませんが、戸建てに関してはまだ発展の余地があると感じています。すでに土地をいくつか取得し設計にも入っており、今後の新たな展開を楽しみにしていただきたいです。
未来に向けて――日本の閉塞感を打破し、希望を持って生きる

今後の10年どうなっていきたいかという目標については、私自身も社員も、自分の未来が楽しみに思えること、これそのものが人の生きる意味だと考えるようになりました。何の変化もなく平和に食べていけることが大切だという考え方もありますが、日本の高度経済成長期や明治維新のように、変化していく先で「見たことのない景色が見られる」ことに人間は心を動かされるのだと思います。
たとえば、1750年代からペリーが来航するまでの100年間は、日本において歴史的な変化がなく、後世の人が見て感動できるような物語がほとんどありませんでした。現代に生きる私たちが、変化のない平穏な日々だけを過ごして「良い人生だった」と思えるかというと、私はそうは思いません。大きな会社で終身雇用という生き方ではなく、チャレンジとリスクのなかで変化し続ける。その成長と苦しみの中に「何かがある」と思えるからこそ希望を持って生きていけるはずです。
究極的には、日本の閉塞感を打破しようとした時、リスクを抑えて平生に過ごすだけでは人の喜びは生まれません。国を成長させ、競争に勝っていく実感の中にこそ、生きる喜びや充実感があるはずです。給料が増えるだけでも良い会社と言えますが、そのまま変化がなければ面白みがなくなり、情熱も失われてしまいます。この先の10年、挑戦し続け、変化し、成長していくことこそが、結局は誰にとっても良いキャリアであり、良い人生になると信じています。
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帝国不動産株式会社
代表取締役社長 木本 啓紀
ゴールドマン・サックス証券株式会社アジア・スペシャル・シチュエーションズ・グループに18年間在籍。ローン債権、債券、不動産、エクイティ、証券化商品、オルタナティブなどあらゆるプロダクトを対象とした投資業務を経験。その後、ソフトバンクグループ株式会社に転じ引き続き投資業務に従事。2019年9月 当社取締役に就任。その後、ソフトバンクグループを退職し、2021年9月 代表取締役CEOを経て、2025年7月代表取締役社長に就任、現在に至る。

