※株式会社アーキテクト・ディベロッパーは、2026年5月1日付で「帝国不動産株式会社」に社名変更しました。
「帝国不動産」誕生と表舞台での発信

当社は2008年創業で、2018〜19年頃のアパート業界への逆風や当社固有の問題を抱えるなか、創業者からバトンを渡される形で私が参画しました。当時はMDIという社名でしたが、アーキテクト・ディベロッパーに変えて再スタートしました。経営は厳しく、目先の資金繰りや社員の引き留めに必死でした。しかし今では当時からは想像できないほど強い会社になり、近い未来、株式公開し社会から注目される会社になりたいと思っています。
前回の社名変更時はビジネスに確信がありませんでしたが、今はまったく異なります。帝国不動産という重厚で大きな看板を背負ってやっていきたいと思っています。社名については、三井不動産を最大手とし、三菱地所、住友不動産、森ビルのような会社と並んで遜色ない名前として、漢字が良いと当初から考えていました。「帝国」と提案した時は少し驚かれましたが、他の言葉と比べ与える印象が桁違いすぎて、「これで行こう」となりました。
当社は基本的にB2Bビジネスで平均単価も約4億円と大きく、裾野の広い不動産投資家向けではありません。テナント様もブランドよりエリアや家賃、駅からの距離で選ぶため、マーケティングはほぼ不要でした。今期700億円以上の売上があるなかでも、広告を必要としない会社だったのです。
しかし、株式公開や事業拡大を目指すなかで、パブリシティを持ったほうが良いと考え始めたのがこの1年でした。私は長く投資銀行という「黒衣」の立場で事業会社をサポートしてきたため、自ら発信することはありませんでした。それをこの1年、Xやnote、動画など今までやらなかったことに挑戦して非常に多くの発見がありました。過去の経験や当時の思考を再構築して伝えるプロセス自体が自分にもプラスになると感じており、発信は継続したいと思っています。
ものづくり体制拡充と新たな領域への挑戦

今後の事業展開で重要なのが建築機能の拡充です。日本は人手不足ですが局地的に景気が良く、設備更新や建築需要は強いものの対応できるリソースが不足しています。実物資産である不動産をハンドリングできる足腰の強さが、今後はより価値を高めます。
建築本部には現在約180名の建築士や施工管理技士がいますが、近い将来300名体制へ拡大します。全社員1,000名規模の3割をものづくりの人員にする戦略に向け、手を打っています。旧社名がアーキテクト・ディベロッパーであったように、前段の設計や建築・施工は極めて重点分野だと考えています。
時代に合わせ事業形態を変化させ、競争優位性が発揮できる領域や需給の歪みがある領域へ経営資源を投下する姿勢は変わりません。
結局のところ、不動産はそれ自体に価値があるのではなく、重要なのは「使用価値」だと考えています。使用者が付加価値を生むから家賃が支払われ、不動産の価値も上がります。当社は住宅分野で経験とプラットフォームを持ち、自社で建てた住宅を市場で最適化して貸し出し、オーナー様に価値を提供できる循環があります。今後は、付加価値のある不動産活用の主体を広げたいと考えています。
商業施設に人気飲食店が入ることでエリアの価値が高まるのと同じです。首都圏のように住むことで完結する市場では我々が付加価値を与える必要はありません。しかし、郊外や地方都市などでディベロッパー主導の事業を行うなら、付加価値を生む行動そのものへアプローチする必要があります。
注目領域として、2拠点生活を見据えた都市開発や地方創生をやりたいと思っています。地域にコミットして事業を行う際、単に住宅を建てて貸し出すだけでは足りません。エリアに価値を与える飲食などのサービス業や、モビリティなどの交通手段を提供する事業にも関わらなければいけないステージに入ってきたと感じます。大手ディベロッパーもそうして成長してきたのだと思いますが、我々もまちづくりに関わるステージに差し掛かっていると感じています。
「引き算の考え方」によるインフラ再編と、日本の未来

日本は人口減少がいわれますが、日本より人口密度が低いオーストラリアでは、シドニーなどの不動産が非常に高額です。それは、行政が住宅を建てられるエリアと認めないエリアのゾーニングをクリアにし、リソースを集中投下しているからです。
日本の地方創生もすべての町を生かすことは不可能です。行政がリーダーシップを取り「人が暮らすインフラを維持・投資するエリア」と「投資をやめるエリア」を分ける決断力があれば、日本はまだまだ発展できます。人口増加を前提としたインフラをどう手仕舞いするか。政治のダイナミズムや財産権があり簡単ではありませんが、明治維新のような歴史的転換に比べれば自治体数の集約などは実現可能であり、やっていくべきだと思います。
個人レベルでは子どもが減れば実家を売却し家の数を減らす「引き算の考え方」をすでに行っており、社会インフラの再編も同じで非常に効率的です。自分の未来が楽しみに思える状況を作ること。それ自体が、人の生きる意味なのではないかと思っています。
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帝国不動産株式会社
代表取締役社長 木本 啓紀
ゴールドマン・サックス証券株式会社アジア・スペシャル・シチュエーションズ・グループに18年間在籍。ローン債権、債券、不動産、エクイティ、証券化商品、オルタナティブなどあらゆるプロダクトを対象とした投資業務を経験。その後、ソフトバンクグループ株式会社に転じ引き続き投資業務に従事。2019年9月 当社取締役に就任。その後、ソフトバンクグループを退職し、2021年9月 代表取締役CEOを経て、2025年7月代表取締役社長に就任、現在に至る。

