(※写真はイメージです/PIXTA)
「できる」と「続けられる」は違う
佐伯さん夫妻が特に負担を感じるようになったのは、体力面でした。68歳と67歳。まだ日常生活に支障はありません。買い物にも行けます。車の運転もできます。しかし、若い頃と同じようには動けません。孫を長時間預かれば、翌日に疲れが残ります。保育園の送迎も、毎日のことになれば負担になります。
「昔なら何でもなかったことが、今は少し疲れるんです」
ある日、美和さんが夫に言いました。
「孫に会えなくなるのは寂しい。でも、私たちの生活まで全部合わせるのは違う気がする」
その言葉をきっかけに、夫婦は長男夫婦と話し合いました。決めたのは、手伝う範囲を明確にすることでした。急な事情がある場合は協力する。ただし、夫婦の予定も大切にする。毎回対応するのではなく、お互いが無理をしない関係を作る――最初は長男夫婦も戸惑いました。近いから全面的に頼れると思っていたのでしょう。しかし、時間が経つにつれて、親世帯にも体力の限界があることを理解してくれるようになりました。
厚生労働省『2025年(令和7年)国民生活基礎調査』によると、65歳以上の高齢者のうち、何らかの自覚症状を抱えている割合(有訴者率)は人口1,000人当たり392.6人に上ります。およそ4割の高齢者が、日々の生活の中で身体的な不調を感じている計算になります。
具体的な症状としては、男女ともに「腰痛」が最も高く(男性155.2、女性169.3)、次いで男性は「頻尿(128.2)」、女性は「手足の関節が痛む(116.6)」となっています。佐伯さん夫妻のように、日常生活に支障はなくても、加齢に伴う身体の痛みや疲れやすさは避けられません。
親世帯と子世帯が長く良好な関係を築くためには、こうした高齢期特有の体力低下や身体的変化を互いに理解し、無理のない範囲で助け合う適度な距離感を保つことが重要といえるでしょう。