国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査」によると、分譲マンションなどの集合住宅取得世帯の約半数にあたる49.7%が、日常的に住宅ローンの返済に「負担感がある」と回答しています。夫婦の収入を合算する「ペアローン」は借入額を大幅に増やせる反面、高収入ゆえの「自分たちは大丈夫」という過信から、いざというときのセーフティネットが機能しなくなるリスクが潜んでいます。30代夫婦の事例をもとに、ペアローンに潜む危険性についてみていきましょう。
「挨拶すら、鬱陶しい…」世帯年収1,500万円・30代パワーカップルが〈9,000万円のタワマン〉購入→半年後、コンシェルジュの前を“顔を伏せて”通るワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

夫の休職で、途端に家計が困窮…「タワマン破産」寸前に

コンシェルジュの丁寧な対応、豪華なラウンジ、万全なセキュリティ。そんな贅沢な日常が一変したのは、タワーマンション購入から半年ほどたった昨年の冬のこと。

 

ダイスケさんが激務によるストレスと慢性的な睡眠不足から心のバランスを崩し、休職を余儀なくされたのです。傷病手当金が支給されるとはいえ、給与収入がゼロとなりボーナスもカットされ、世帯収入は一気に激減しました。

 

途端に、それまで余裕のあった家計はまたたく間に苦しくなります。アヤさんの収入だけで月33万円という重い住居費を支払うと、手元には日々の食費や生活費すらまともに残りません。

 

「なんとか独身時代の貯金を取り崩してしのいでるけど、このペースだとあと数ヵ月で完全に底をつく……」

 

焦りを募らせたアヤさんは、マンションを手放そうと考え、取り急ぎ不動産会社に売却の査定を依頼しました。しかし、そこで告げられた結果に、アヤさんはさらにショックを受けます。

 

査定額は、購入時とほとんど変わらない約9,000万円だったものの、残債を差し引くと手元に現金はほとんど残りません。それどころか、売却にかかる仲介手数料などの諸費用で、数百万円の支払いが発生することが判明したのです。

 

また、アヤさんにとって「次の住まい」と「夫への報告」も大きな悩みの種でした。家を売ればローンからは解放されるものの、ダイスケさんが休職中では次に借りる物件の審査が厳しくなる可能性があります。なにより、精神的に参っているダイスケさんに「家を売ろう」となかなか話を切り出すことができません。

 

「かといって、このまま高い住居費を払い続ける貯金もありません……」

 

休職中のダイスケさんにはゆっくり休んでほしいと願う一方、アヤさんの心には「早く仕事に復帰してくれないと家計が破綻してしまう」という焦りが渦巻いています。高収入が老後まで続くと身の丈に合わないペアローンを組んでしまった代償はあまりにも大きく、アヤさんは今日も顔を伏せてコンシェルジュの前を通り抜けながら、見えないタイムリミットに怯える日々を送っています。

 

[参考資料]

・生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)」

・国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」

 

【注目のセミナー情報】​​​

【資産運用】7月22日(水)オンライン開催
《2026年・富裕層のマネー戦略》
「投資信託×保険」の資産形成アプローチ

 

【アメリカ不動産投資】7月27日(土)オンライン開催
過去10年間で住宅価格が1.9倍に上昇したエリアも!
「減価償却×ドル建て資産」を活用した資産形成戦略