国土交通省の『令和6年度 住宅市場動向調査報告書』によると、住み替えによって「住まいのダウンサイジング」をするシニア世代が増えています。広すぎる家を持て余し、長年住み慣れたマイホームを手放し、コンパクトな賃貸住宅などに移っているというのです。事例を通して、その決断をする背景についてみていきましょう。
「俺の実家がなくなった!?」46歳息子、4年ぶりの帰省連絡で知った“衝撃の事実”…年金月23万円・70代両親が〈庭付き3LDKの一戸建て〉を手放し、〈1DKの団地〉に引っ越した理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

「俺の実家がなくなった!?」46歳息子が4年ぶりの帰省連絡で知った“衝撃の事実”

都内のIT企業で働くヨウスケさん(仮名・46歳)は、妻と小学生の子どもとの3人暮らしです。仕事や子育てに追われるあまり、地方にある実家にはもう4年ほど帰っていません。

 

ようやく仕事が落ち着き、連休を利用して久しぶりに顔を出そうと思い立ったヨウスケさんは、母のユメコさん(仮名・73歳)に電話をかけました。

 

「もしもし? 今度の連休久しぶりにそっちに帰ろうと思うんだけど、いいかな?」

 

するとユメコさんから、思いがけない言葉が返ってきました。

 

「いいけど、住所わかるの?」

 

意味のわからない回答にたじろいでいると、ユメコさんはいいました。

 

「今年の初めに家を売って、いまは駅近くの団地に引っ越したの」

「えっ!? 俺の実家がなくなった……?」

 

ヨウスケさんは言葉を失いました。ヨウスケさんが中学生のころ、両親が建てた3LDKの庭付き一戸建ての実家。思い出の場所を手放されてしまったことに、ショックと寂しさが入り混じった複雑な感情を抱きました。

両親が〈庭付き3LDKの一戸建て〉を手放した理由

ヨウスケさんが家族を連れて両親の新居を訪ねると、そこはとある郊外の駅から歩いて数分の場所にある、家賃5万円・1DKの団地でした。部屋には必要最低限の家具だけが置かれ、かつての実家と比べてかなり狭く感じます。

 

「どうして実家を売ったの?」と尋ねるヨウスケさんに、父親・リョウゾウさん(仮名・76歳)は事情を話してくれました。

 

リョウゾウさんによれば、ヨウスケさんが独立して15年以上が経ち、2階の子供部屋はずっと空室で、雨の日の洗濯物を干すくらいにしか使っていない。階段の上り下りや庭の手入れもつらくなってきたといいます。

 

「それに、あそこは車がないと生活できないだろ。最近は運転が少し怖くなって、免許の返納も考えていたんだ」

 

駅近のコンパクトな住まいであれば、車がなくても買い物に困らないし、生活も便利になると、ユメコさんと相談して売却を決意したのだそうです。