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お金ではなく残したもの
佐藤さんは、子どもたちに一切援助しないと決めているわけではありません。ただ、お金ではなく別の形で関わるようにしています。長男の家も、長女の家も、ドア・トゥ・ドアで1時間以内の距離です。どちらも共働きだから、忙しいときには手作り料理を差し入れします。忙しいときには、数時間孫の面倒を見るために遊びにいくこともあります。
「お金を渡すのは簡単です。でも、続けられなくなったらガッカリされるでしょ」
「近い距離にいるからこそ、お金じゃない援助をする。そのほうがお互いのためにいいと思って」
忙しい長男や長女の家を助けるために、毎週、行ったり来たり。「結構、足腰を使うから、いい運動になる。私なりの健康法ね」と佐藤さんは笑います。
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』(2022年)によると、妻から見て「近いほうの母親」が「60分未満(近居)」の距離に住む割合は72.1%に上ります。また、近居の親から受ける手助けとしては「孫の世話」が最も多く、有配偶の娘の37.3%が母親から支援を受けています。
金銭的な援助は互いのプレッシャーになることもありますが、近接性を活かした日常的なサポートは、親自身の健康や生きがいにもつながります。互いの生活を尊重し、無理のない範囲で実生活を助け合う「適度な距離感」が、これからの円満な親子関係を築く鍵となるでしょう。