多くの中間管理職にとって、もっとも頭を抱えるテーマのひとつが「改善指導」です。強く言えば「パワハラ」と受け取られかねず、かといってなにも言わなければ部下のミスは改善されません。しかし、部下が本当に不安を感じるのは、適切なフィードバックがないまま放置されることです。そこで本記事では、竹下友浩氏の著書『最大の成果を生み出すチームビルディング メンバー育成に悩む中間管理職のあなたへ』(ごきげんビジネス出版)より、ある企業の事例を通して、最適な「改善指導」の進め方を紹介します。
注意するとすぐ落ち込むZ世代部下…「パワハラ扱いされるかも」と怯える上司が、「なぜできなかった?」をやめて「大変だったね」と言葉を添えた結果

厳しい指導から一転、「共感」重視でチームの空気が一変

〈事例〉

あるメーカーの中間管理職のCさんは、これまで「厳しく指導するのが上司の役割」と考えていました。ところが、メンバーに指摘を繰り返すうちに関係が悪化。会話は最低限、ミスも減らず、チームの雰囲気は冷え切っていました。そこでCさんは、先述した4ステップを実践することにしました。

 

「お疲れさま。ここの分析、細かくやってくれて助かった」と承認。「ただ、報告の締め切りが少し遅れたね」と事実を指摘。「忙しいなかでの対応で大変だったね。頑張ってくれていたのは伝わっているよ」と共感。「忙しかったと思うけど、どうすれば次は間に合うと思う?」という質問で締めました。

 

その後、このメンバーは、自ら「次はこう進めます」と改善策を提案してきてくれました。チーム内でも報告や相談が増え、Cさんはこう語っています。

 

「言い方を変えるだけで、チームの空気が全く違った」「叱るより、共に考えるほうが結果的に責任感を育てられる」

 

このCさんの変化は、改善指導の質がリーダーへの信頼を決めることをまさに証明しています。上司が「あなたの成長を信じている」という姿勢を見せることで、部下は初めて「上司が成長を支援している」と受け止めることができます。

 

多くの中間管理職は、「言いにくいことを伝えるのは、関係を壊すリスクだ」と考えがちですが、現実は逆です。部下にとって真の不安とは、適切なフィードバックがないまま放置されることです。

 

自分の改善点が見えず、成長の機会を奪われることは、部下に「自分は期待されていない」という思いを抱かせ、それは結果として組織への不信感へとつながります。上司が「あなたの成長を信じている」という姿勢を、この4ステップで形にして見せることで、部下は上司の指摘を「支援」として受け止めることができます。

 

改善を伝えることは、相手を否定することではありません。むしろ、「あなたに期待している」という、あなたから部下への最大の期待のメッセージです。まず相手の「良い点」を具体的にほめて承認する。そして、「事実」を伝える。相手の行動を受け止めて「共感」を示す。「一緒に考える問い」で締めくくる。

 

4つのステップを実践することで、あなたの改善指導方法は単なる「注意」の枠を超え、パワハラにならない「成長支援」に変わります。それは、心理的安全性を守りながらも、質や成果に対しては妥協をしない、真のリーダーの姿です。

 

 

竹下 友浩

マネジメント研修講師/生成AI研修講師&コンサルタント

 

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