職場の「報連相が少ない」「若手が何を考えているか分からない」という悩み。それは部下の能力不足ではなく、上司側の“聴き方”に原因があるかもしれません。良かれと思ってアドバイスを重ねたり、話を急かしたりする行為は、現代の若手からはどのように受け取られるのでしょうか。本記事では、竹下友浩氏の著書『最大の成果を生み出すチームビルディング メンバー育成に悩む中間管理職のあなたへ』(ごきげんビジネス出版)より、ある企業の事例を通してマネジメントスキル「傾聴」の3大原則を紐解きます。
20代・Z世代部下の9割が〈コミュ難〉で退職を考える現代の職場…「結論から言って」ともどかしがる上司が見落としていること

部下に“もどかしさ”を感じる上司に足りていないスキル

あなたがメンバーの話を聞いているとき、「結論を早く言ってほしい」「何が言いたいの?」そう感じることはありませんか? しかし、その瞬間、あなたは「聞いているつもりで、聞けていない」状態です。

 

カール・ロジャーズは、「傾聴」を「相手の心を開く技術」と定義し、「人は共感されることで初めて自己改善への意欲を持つ」と説明しています。中間管理職の役割は「答えを与えること」ではなく、「部下が自分で答えを見つけられるように導く」ことです。そのための入口が「傾聴」です。

 

しかし、最近の調査では、上司とメンバーの「話し合い不足」が企業の大きな課題として顕在化しています。

 

ペンマーク「Z世代と上司のコミュニケーションに関する実態調査」(2025)によると、Z世代の若手社会人の約9割が、上司とのコミュニケーションを原因として退職を考えた経験がある。特に「頻繁にある」「時々ある」と回答した層が約6割を占めました。日々の業務におけるコミュニケーションが、Z世代の離職に深刻な影響を与えている現状が浮き彫りになりました。

 

ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR,2021)では、「リーダーシップにおける最も重要なスキルは傾聴である」とされています。なぜなら、上司が傾聴することで、部下は「自分の意見が尊重されている」と感じ、心理的安全性と自律性が同時に高まるからです。

「傾聴」のポイント、3つ

傾聴とは、「耳・目・心」で聴く行為です。傾聴には、以下の3つのポイントがあります。

 

1.あいづちで「話を聴いている」ことを相手に示す

あいづちで、「なるほど」「そうなんだ」「うん」など短い反応で聴いていることを伝える。上司がメンバーへ「理解している」というサインを出すだけで、メンバーは「安心して話していい」と思えるようになります。

 

2.「感情」を言語化して返す

話された「内容」だけではなく、相手の「感情」を想像して言語化し返すことで対話が深まります。たとえば、メンバーがこう言ったとします。

 

「正直、上司に報告するのが怖くて……」

 

そのときに「怖がるな。報告は義務だ」と返してしまうと、対話が途切れます。代わりに、「上司へ報告することを怖いと感じているんだね?」と返す。そうすると、メンバーは「自分の気持ちを理解してくれた」と感じ本音をさらに話しやすくなります。

 

3.沈黙を恐れず、相手の言葉を待つ

多くの上司が「沈黙の間」に耐えられず、自分から先に話をまとめ、アドバイスを先に話してしまいがちです。しかし、無言で待つことで、メンバーは「この人は聞いてくれる」と感じます