住宅価格の高騰が続くなか、憧れのタワーマンションを購入した後に家計の圧迫に悩む世帯が増えています。特に、住宅ローンに加え、管理費や修繕積立金などの負担が年々重くなるケースは少なくありません。都心のタワーマンションで暮らす共働き夫婦の事例を通して、「高所得世帯でも陥る住居費負担の落とし穴」について考えます。
〈世帯年収1,580万円〉都心タワマン暮らしの40代パワーカップル。煌びやかなエントランスを抜けた先に向かう激安スーパー「1円でも安く」のリアル (※写真はイメージです/PIXTA)

都心に縛られるワケ

厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、児童のいる世帯の総所得は820.5万円。額面の年収に換算すると約1,000万円〜1,100万円程度になります。平均を大きく上回り、傍目からみれば煌びやかな生活を送る高橋さん夫婦。しかし、そこまで余裕はない、というのが実情。

 

「週末、1週間分の買いだめをするのが習慣なのですが、スーパーは3軒は回ります。チラシを見比べて、できるだけ安く買うことを徹底しています」

 

美咲さんのスマホにあるのは、スーパーやドラッグストア、家電量販店など、さまざまなチラシをチェックできるアプリ。野菜、肉、魚、日用品……それぞれ安い店舗をはしごしているのです。

 

それでも周囲からは「成功した家庭」と見られることが多いといいます。マンションのエントランスにはコンシェルジュが常駐し、共用ラウンジからは都心の景色が見渡せます。古くからの友人を招いた際も、感嘆の声があがったとか。

 

「タワマンへの憧れがゼロだったわけではないが、仕事のことを考えると、できるだけ会社に近いほうがよかった。賢い選択をした……当時はそう思っていました」

 

購入当時を思い出し、高橋さんは苦笑します。

 

国土交通省『令和5年度マンション総合調査』によると、全国の分譲マンションにおける管理費の平均は月額1万1,503円、修繕積立金の平均は月額1万3,054円。さらに近年は建築費や人件費の上昇を背景に、修繕積立金の増額が相次いでいます。

 

固定費が増える一方のなか、高橋さん夫婦も将来への不安を抱えています。来年、長男は中学校に進学。教育費はさらに増える見込みです。一方で住宅ローンの残高はまだ6,000万円以上残っています。

 

「売却すればいいと言われることもあります。しかし、下の子が高校を卒業するまでは、ここを離れることはできない」

 

現在、夫婦は家計の見直しを進めています。ただ、その対象になるのは食費や娯楽費などの変動費ばかりです。最も大きな負担である住居費は、簡単には削減できません。

 

「後悔をしているわけではありません。とにかく立地がよく、メリットは大きい。ただこの生活を維持し続けられるのか、不安は増すばかりです」