(※写真はイメージです/PIXTA)
久々の帰省で見た光景
「嘘だろ……」
玄関のドアを開けた瞬間、田中翔太さん(32歳・仮名)は言葉を失いました。
鼻をつく生ゴミの臭い。
廊下に積み上がったコンビニ袋。
脱ぎ捨てられた衣類。
空になったペットボトル。
築38年の実家は、わずか4ヵ月前まで普通の家だったはずでした。父の田中義雄さん(60歳・仮名)が1人暮らしを始めたのは前年秋のことです。長年連れ添った妻との熟年離婚。その直後に定年退職を迎えました。
離婚の原因はよくわかりません。子どもの目からは、円満夫婦にみえました。でもそうではなかったようです。きちんと理由を聞いたことはありません。本人たちしかわからないことがあるのだろうと、あえて聞いていなかったのです。
また翔太さんは県外で暮らしており、仕事も忙しかったため、頻繁には帰省できません。離婚したことも、すべて事後報告として電話で聞いただけでした。
母の出ていった家で、父が1人暮らしなどできるのだろうか……そんな不安もゼロではありませんでした。
「父は昔から真面目な人でした。毎朝決まった時間に起きて、家の掃除もきちんとする。不安に思うところもあったけれど、大丈夫だろうと思っていたのですが……まさかゴミ屋敷になるなんて想像もしませんでした」
居間へ進むと、ソファには洗濯物が山積みになっていました。
床には弁当の容器。テレビはつけっぱなしです。しかし父の姿はありません。寝室をのぞくと、義雄さんは昼過ぎにもかかわらず布団に横になっていました。
「何してるの?」
そう声をかけても、反応は鈍かったといいます。
「別に」
短く返しただけでした。