親子関係の断絶は、特別な家庭だけで起きる問題ではありません。親は支えているつもりでも、子どもは長年の干渉や否定として受け止めていることがあります。本記事では、70代の両親に「最後の手紙」を送り、連絡を絶った43歳女性の事例を通して、親子の価値観のずれがもたらす深刻な溝についてみていきます。
「もう限界です」〈43歳娘〉が70代両親を着信拒否。「嫌いになったわけではない、でも…」4枚綴りの手紙で親子絶縁を宣言したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

40代女性「両親とは会っていません」

「私は親を嫌いになりたかったわけじゃありません」

 

そう話すのは、鈴木美咲さん(43歳・仮名)。昨年、美咲さんは70代の両親に4枚の手紙を送りました。その手紙を最後に、電話やLINEなどすべての連絡手段を断ちました。現在も両親とは会っていません。

 

美咲さんが伝えたかったのは、親への恨みではなく、「もうこれ以上は耐えられない」という気持ちだったそうです。親子の絶縁というと、大きな事件や深刻な家庭問題を想像する人もいるかもしれません。しかし美咲さんの家庭は、周囲から見ればごく普通の家庭でした。

 

父の正夫さん(74歳・仮名)は会社員として定年まで働き、母の和子さん(72歳・仮名)は専業主婦として家庭を支えていました。現在は夫婦で月23万円ほどの年金を受給し、地方都市の持ち家で暮らしています。

 

「手をあげられたことはない。生活に困ったこともない」

 

それでも、美咲さんのなかには幼い頃から積み重なった違和感がありました。最初に強く覚えているのは高校進学のときです。美咲さんは県外の高校を希望していました。しかし父は反対しました。

 

「わざわざ遠くへ行く必要があるのか」

「地元にも学校はあるだろう」

 

結局、地元の進学校を選ぶことになりました。大学進学でも同じでした。

 

「そんな学部を出て仕事はあるのか」

 

就職活動では、

 

「公務員のほうが安定している」

 

転職時には、

 

「転職する意味あるのか」

 

人生の節目ごとに意見を述べる父に対し、美咲さんは次第に本音を話さなくなりました。

 

「父は心配していたのだと思います。子どものころは理解できました。でも私もいい大人ですし、もう親に守られる存在ではないはず」