(※写真はイメージです/PIXTA)
「あちらの家には負けたくない」…1枚のパンフレットから始まった見栄の応酬
「“大好きなおばあちゃん”の座を守ることは、こんなにも大変なことなんですね」
神奈川県内の分譲マンションに一人で暮らす、宮崎智子さん(72歳・仮名)。 3年前に夫を亡くし、現在は月額約14万円の年金で暮らしています。 かつては1,000万円程度の老後資金があったそうですが、現在は半分程度になってしまったとか。
「慎ましく暮らせば老後は問題ないと考えていました」
しかし、最近は貯金通帳を眺めてはため息ばかりを漏らす日々が続いています。 智子さんが経済的に困窮するきっかけは、4年前、都内に住む長男(38歳)に長女、つまり智子さんにとっての初孫が生まれたことでした。
「嬉しくて仕方がありませんでした。でもそれと同時に、お嫁さんのご実家に対する強い対抗心が芽生えてしまったんです」
義娘の実家は、智子さんの家と同じく、一般的なサラリーマン世帯です。 しかし、初孫の誕生祝いとして、高級ブランドのベビー服や海外製のベビーカーが次々と息子夫婦の家に届けられるのを目にし、智子さんは焦りを覚えたといいます。
「あちらも普通のサラリーマン家庭なのに、なぜそんなに高級なものばかり買い与えられるのか……余計に嫉妬心が煽られてしまいました」
お宮参り、初節句、1歳の誕生日といった行事のたびに、智子さんはお嫁さんの実家と同等、あるいはそれ以上の祝い金や贈り物を包みました。 お嫁さんの実家が10万円の祝い金を出したと聞けば、智子さんは15万円を工面して手渡しする――常に相手方を上回るように振舞っていたのです。
そして2年前、孫の小学校入学を控えた時期に、決定的な出来事が起こります。 息子夫婦の家を訪れた際、リビングの机に高級ランドセルのパンフレットが置かれていました。 そこには10万円を超える価格が並んでいました。
「ランドセルは私が買うわ。任せてちょうだい」
息子夫婦や、その向こうにいるお嫁さんの親に対して、自分の経済力を誇示したい一心で、智子さんは思わず口走ってしまいました。
「本当は、年金暮らしの身には大きな出費です。でも、息子から『お義父さん、お義母さんが買ってくれた』とは聞きたくなかったんです」