(※写真はイメージです/PIXTA)
高校時代に知った、両親が不仲な「本当の理由」
ケイコさんの実家は、幼いころからどこか冷え切った空気が流れていました。その原因が父親の不倫にあると、高校生になったケイコさんはある日偶然知ってしまいます。母・シノブさんは、実はケイコさんが小学生のときに父の不倫を把握していましたが、娘に隠したまま家庭内別居を続け、ワンオペで家事と育児を耐え忍んでいたのです。
事の真相を知った高校生のケイコさんは、「お母さんはずっと一人で苦しんでいたんだ、私が支えなきゃ」と心に決めました。それ以来、家を顧みない父親の代わりに、率先して家事を手伝うようになります。しかし、それがケイコさんにとって、終わりのない苦しみの始まりとなってしまいました。
不倫の事実を知られたことで、母のなかでなにかが壊れたかのように、ケイコさんは毎日父親の愚痴を聞かされるようになったのです。家の空気が悪くなるたび、ケイコさんは母親の機嫌を損ねないよう気を張り詰めました。
さらに母は、事あるごとに「小学生だったあんたが『離婚しないで』って泣くから、私はここまで我慢してきた」としつこく言い募ります。母の負の感情の受け皿にされ続けたことで、ケイコさんの心は激しく摩耗していきました。
20年前の大喧嘩…母を残し、一人暮らしへ
ケイコさんが大学を卒業すると同時に両親は離婚。このとき、シノブさんは父親からの財産分与として現金300万円と、実家の一戸建て(土地・建物)を母名義で譲り受けました。ケイコさんとシノブさんは家に二人で住み続けることに。しかし、長年の家庭内ストレスが祟り、ケイコさんはメンタルの病気を患ってしまいます。正社員として働くことができず、アルバイト生活。当時の月収はわずか10万円ほどでした。さらに、両親の泥沼を見て育った恐怖から、「私は一生結婚したくない」と母に告げます。
この娘の姿に、母は強い不満と焦りを募らせました。娘の将来を案じるあまり、シノブさんは納得いかない感情を、すべて鋭利な言葉に変えてケイコさんに浴びせかけるのです。
「大学まで出してやったのに月収10万円のフリーター」「メンタルが弱すぎる。バイトの身でこの先、生きていけると思うのか」「結婚もしない娘なんて恥ずかしい」
ケイコさんが母の意見と違う行動をとると、「あなたにはうんざり」「父親に似ている」などと、その人格や生き方すべてを否定され続けました。
父親が家を出てもなお、ほぼ毎日父親の愚痴を聞かされる辛さ。険悪な空気を何度もフォローしてきた疲労。自分が引き止めたせいで母の人生を縛ったといわれ続ける罪悪感。そして、自分の病気や生き方を「おかしい」「恥ずかしい」と否定され続けた苦しみ……。
心も体も完全に限界を迎えていたケイコさんは、20年前の26歳のとき、母を残して実家を飛び出しました。