2025年の日本の合計特殊出生率は「1.14」と過去最低を更新し、出生数も68万人を割り込みました。しかし、この数字を「世界」、そして迫りくる「多死社会」という現実を通してみると、私たちがこれまで目を背けてきた、さらに不都合な真実が浮かび上がってきます。なぜ日本は少子化を食い止められないのか。最新の国際比較データから、韓国や欧米諸国との決定的な違いを読み解き、日本の人口動態が向かう「本当の終着点」に迫ります。
出生率「日本1.14」「韓国0.80」の悪夢。欧米と決定的に違う日本の「少子多死社会」という「本当の立ち位置」 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本の「出生率1.14」は世界でどの位置にあるのか?

厚生労働省が公表した「令和7(2025)年の人口動態統計月報年計(概数)」は、日本社会に改めて強い危機感を抱かせる内容となりました。国内の出生数は67万1,236人と10年連続で過去最少を更新し、一人の女性が一生の間に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率は「1.14」と過去最低を記録しました。また、出生数から死亡数を引いた自然増減数はマイナス91万8,253人となり、19年連続で人口減少が進んでいます。


日々のニュースでは「過去最低」「過去最少」という言葉が飛び交いますが、少し視座を高くし、グローバルな視点からこの数字を捉え直すとどうなるでしょうか。最新の国際比較データから、諸外国の出生率・死亡率と日本の現在地を比較してみましょう。

 

そもそも、合計特殊出生率1.14という数字は世界的に見てどの程度の水準なのでしょうか。厚生労働省がまとめた国際比較データを見ると、主要先進国の中で日本がいかに厳しい状況に置かれているかが一目で分かります。


欧米諸国に目を向けると、イタリアが1.21(2023年)、ドイツが1.35(2024年)、イギリスが1.43(2023年)、スウェーデンが1.45(2023年)となっています。一般的に、人口を維持するためには合計特殊出生率が2.07程度必要とされています(※この人口置換水準に関する定義は一般的な人口学の見地であり、今回の資料外の情報です)。イタリアやドイツなども少子化に悩む国として知られていますが、日本の1.14はそれらをさらに下回る水準です。


人口千人当たりの「出生率」で見ても、日本は5.6にとどまっており、アメリカの10.6(2024年)やイギリスの9.6(2023年)、スウェーデンの9.5(2023年)などと比べると、社会に新しく生まれてくる命の割合が著しく低いことが際立ちます。

衝撃の「0.80」…超少子化へ突き進む韓国のリアル

しかし、アジアには日本よりもさらに急激な少子化に見舞われている国が存在します。それが韓国です。

 

同データによれば、韓国の2025年の合計特殊出生率は「0.80」という衝撃的な数字となっています。これは日本の1.14をはるかに下回る「超・少子化」の領域に突入していることを意味します。人口千人当たりの出生率も、日本(5.6)より低い5.0まで落ち込んでいます。さらに、シンガポールの合計特殊出生率も0.87(2025年)となっており、極めて低い水準です。

 

東アジア諸国では、急速な経済成長とそれに伴う社会構造の変化、激しい受験競争や若年層の将来への不安などが少子化の背景にあると指摘されることが多くあります(※これらの背景的要因は本統計データ外の一般的な見解です)。日本と韓国、そしてシンガポールという東アジアの経済先進国が揃って1.0前後の深刻な少子化に直面している事実は、この地域特有の社会・経済モデルが大きな転換点を迎えていることを示唆しています。