定年を迎え、年金と貯蓄で穏やかな老後を送るはずだった65歳の父親が目にしたのは、実家の角部屋に隠された衝撃の真実。ある家族を襲った「引きこもりの前兆」という静かな危機の全貌に迫ります。
「お前、ずっと騙していたのか?」年金月19万円・65歳父が絶句。実家の角部屋で静かに起きていた、42歳長男「引きこもりの前兆」 (※写真はイメージです/PIXTA)

リフォームを機に始まった、42歳長男との同居生活

神奈川県内に暮らす山田健一さん(65歳・仮名)は、3年前に自宅の全面リフォームを行いました。

 

長年勤めた専門商社を定年退職し、現在の主な収入は月々約19万円の年金です。これまでに蓄えた資産は、退職金を含めて3,800万円ほどにのぼります。夫婦2人で暮らしていけば、老後の資金計画に大きな問題はないはずでした。

 

リフォームの際、健一さんと妻が計画したのが、都内のIT企業でシステムエンジニアとして働く長男・陽介さん(42歳・仮名)の部屋でした。当時、陽介さんの会社ではリモートワークが定着しており、実家へ立ち寄る機会が増えていたからです。

 

母親は「実家でも仕事ができるように、あなたの部屋も作っておいたわよ」と伝え、陽介さんを迎えて同居生活が始まったといいます。

「今日も2階でお仕事中」父親が信じ切っていた日常

朝、健一さんがリビングにいると、陽介さんが2階から降りてきて「今からミーティングだから」とすぐに角部屋に戻っていきます。

 

昼時には自分で簡単な食事を作り、再び部屋にこもる生活を送っていました。夜遅くまで部屋の明かりがついており、キーボードを叩く音が聞こえてくる毎日でした。

 

健一さんは「いつでも家にいて仕事をしている。今の時代はこれが当たり前なんだなと妻と納得していました」と振り返ります。2階から聞こえる生活音は、健一さん夫婦にとって、息子が順調に働いている証拠でした。

 

しかし、この光景が、山田家の資金計画を揺るがす事態の隠れみのになっていました。

 

同居から2年が経過したころ、健一さんは偶然、陽介さんの部屋の机の上に置かれた1通の通知書を目にします。それは、国民健康保険料の督促状でした。

 

会社の社会保険に加入しているはずの陽介さんに、なぜこのような書類が届くのか不審に思った健一さんが陽介さんを問い詰めたことで、事実が発覚します。毎日、自室でリモートワークをしていると思っていましたが、実は1年前に退職していたのです。

 

「お前、ずっと騙していたのか?」

 

健一さんは当時の驚きをこのように話します。毎日部屋にこもってパソコンに向かっていた姿そのものが、すべてうそだったことが分かったからです。