2025年の日本の合計特殊出生率は「1.14」と過去最低を更新し、出生数も68万人を割り込みました。しかし、この数字を「世界」、そして迫りくる「多死社会」という現実を通してみると、私たちがこれまで目を背けてきた、さらに不都合な真実が浮かび上がってきます。なぜ日本は少子化を食い止められないのか。最新の国際比較データから、韓国や欧米諸国との決定的な違いを読み解き、日本の人口動態が向かう「本当の終着点」に迫ります。
出生率「日本1.14」「韓国0.80」の悪夢。欧米と決定的に違う日本の「少子多死社会」という「本当の立ち位置」 (※写真はイメージです/PIXTA)

出生率1.5〜1.6台を維持する欧米諸国との差

一方で、同じ先進国でありながら、比較的高い出生率を維持している国々もあります。

 

アメリカの合計特殊出生率は1.66(2022年)、フランスは1.59(2024年)となっています。これらの国々も過去に比べれば出生率は低下傾向にあるものの、1.14の日本や0.80の韓国と比較すると、依然として高い水準を保っています。人口千人当たりの出生率で見ても、フランスは9.5(2024年)と日本の5.6を大きく引き離しています。

 

フランスは手厚い家族政策や多様な家族形態の容認などによって少子化を食い止めた国として、日本でも度々紹介されてきました。アメリカは移民の存在や多様な価値観など様々な要因が絡み合っています。

 

日本が今後、少しでも出生率を回復の軌道に乗せていくためには、1.5〜1.6台を維持している欧米諸国の社会システムや働き方、子育て支援のあり方から学ぶべき点はまだまだ多いといえるでしょう。

「多死社会」日本、死亡率13.3はダントツの高水準

少子化と並んで、日本の人口動態を語る上で欠かせないのが「高齢化」とそれに伴う「多死社会」の現実です。令和7(2025)年の日本の死亡数は158万9,489人と、前年からわずかに減少(1万5,889人減)したものの、依然として約160万人という膨大な数の方々が亡くなる時代を迎えています。

 

人口千人当たりの死亡率を国際比較すると、日本の高齢化の深刻さがより鮮明になります。日本の死亡率は「13.3(2025年)」に達しています。これは、比較対象となっている主要な諸外国の中で最も高い数字です。


他の国を見てみると、高齢化が進むドイツが12.1(2024年)、イタリアが11.4(2023年)と比較的高い水準にありますが、日本はそれをさらに上回っています。アメリカは9.0(2024年)、スウェーデンは9.0(2023年)、フランスは9.5(2024年)といずれも9点台です。出生率が極端に低い韓国やシンガポールに至っては、人口構成が若いためか、それぞれ7.1(2025年)、6.0(2025年)と日本の半分程度の水準にとどまっています。

 

この「死亡率13.3」と「出生率5.6」という数字の圧倒的な開きが、年間90万人以上の人口自然減をダイレクトに引き起こしているのです。

データが示す現実と、これから向き合うべき課題

令和7(2025)年の人口動態統計の国際比較から見えてきたのは、少子化という点において日本が欧米諸国から大きく遅れをとり、一方で韓国のような「0.80」という未知の領域の一歩手前にいるという危うい立ち位置です。同時に、世界トップクラスの「多死社会」という現実も突きつけられています。

 

出生数67万人という数字は、ただの統計上の結果ではありません。これからの数十年間、日本の労働力、経済力、そして社会保障を支える屋台骨が、かつてないスピードで細くなっていくことを意味しています。

 

世界との比較によって浮き彫りになったこの厳しい現実から目を背けることなく、国や企業、そして私たち一人ひとりが、抜本的な社会構造の変革に本気で向き合わなければならないタイミングに来ているといえるでしょう。