2025年度「生活保障に関する調査」によると、20代男性の80.2%が保険に関する知識について「あまり詳しくない」もしくは「まったく詳しくない」と回答しています。また、生命保険や金融に関する客観的な知識を問うテストでも、20代男性の平均正解数は6問中わずか2.4問にとどまっています。本記事では、20代独身男性の事例から、生命保険料控除の仕組みと、保険との付き合い方について解説します。
「保険に加入すると、税金が返ってきますよ」生命保険外交員の勧めで、“掛け金月2万円”の掛け捨て保険に加入した月収30万円の26歳独身男性。年末調整で知った「驚愕の控除額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

わずか数千円?明細を見て唖然

「……えっ、これだけ?」

 

画面に表示された年末調整の還付金額は、わずか8,000円。前年の還付金と比べても、ほとんど増えていません。

 

「なにかの間違いだろ」と思ったソウゴさんは、手元にある「給与所得の源泉徴収票」も確認したところ、そこには、生命保険料控除の欄にポツンと数字が書かれていました。

 

[生命保険料控除の額:80,000円]

 

「年間24万円も払ったのに、なぜ8万円しか引かれていないんだ?」

 

混乱したソウゴさんは、会社の経理担当の先輩に確認。ここで初めて、日本の生命保険料控除制度に設けられた「ルール」を知ることになります。

 

現行のルール(2012年以降に契約した新制度)では、いくら高い保険料を支払っても、1つの枠(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)において、所得税から控除される金額の上限は一律「4万円」と決まっています。

 

ソウゴさんの保険は「死亡保障」と「医療保障」がセットになっていたため、「一般」と「介護医療」の2つの枠(各4万円)がそれぞれ上限まで適用され、合算で8万円の控除になりました。しかし、どれだけ高い保険料を支払っても、税金計算上の扱い(控除額)は各枠4万円、合計でも最大8万円で頭打ちになってしまうのです。

 

さらに勘違いしやすいのは、「8万円の控除 = 8万円がそのまま現金で返ってくる」わけではないという点でした。

 

「控除」の意味      税金を計算するもととなる「課税所得」を一定額引き下げるだけ。

所得税の還付額      控除額8万円×所得税率(ソウゴさんの場合10%)= 8,000円

住民税の軽減額      住民税の控除上限は一般2.8万円+介護医療2.8万円=5万6,000円

             5万6,000円×住民税率 10% = 5,600円

年間の実質節税額     合計 約1万3,600円

 

給与口座に直接戻ってきた所得税は、わずか8,000円(月換算で約660円)。翌年の住民税軽減分を合わせても、トータルの節税効果は年間で1万3,600円程度にとどまります。

「還付金」の響きに踊らされた本末転倒な結果

「年間24万円も払って、戻ってきたのが数千円なんて……。これなら、最初から月5,000円くらいの安いネット保険にして、差額の1万5,000円を新NISAで運用するか、普通に貯金しておけばよかったです」

 

ソウゴさんは、自分のマネーリテラシーの低さに激しいショックを受けていました。

 

誤解してはならないのは、生命保険そのものが悪というわけではない点です。万が一の病気や死亡リスクに対して、月2万円で相応の安心を買っているという意味では、掛け捨て保険にも本来の役割はあります。

 

しかし、「お金が返ってくるからおトク」という響きを拡大解釈し、中身の仕組みを理解しないまま高額な保険に加入するのは完全に本末転倒です。年間数千円の税金を浮かせるために、年間24万円の現金を排出し続けるのは、資産形成の観点から見れば大赤字といわざるを得ません。

 

セールストークの心地よさに流されず、「いくら払って、実際にいくら手元に残るのか」という具体的な数字を自分で調べる力が求められています。

 

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