「内覧会」が集患を左右する? 近隣クリニックとの「集患競争」を勝ち抜く、内覧会のススメ【医療コンサルタントが解説】

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「内覧会」が集患を左右する? 近隣クリニックとの「集患競争」を勝ち抜く、内覧会のススメ【医療コンサルタントが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

都市部ではクリニックの開業件数が増え、集患競争が激化しています。こうした状況のなか、開業時に関係者や地域住民を招いて行う「内覧会」のあり方にも変化が起きているようです――。本稿では、内覧会の最新事情と内覧会を活用した集患戦略について、クリニック経営コンサルタントである株式会社船井総合研究所の石原春潮マネージング・ディレクターが解説します。

激化する「集患競争」の実態……「内覧会」の重要性が変わる

クリニック開業を取り巻く環境は、いままさに大きな転換期を迎えています。すでに実感している人も多いと思いますが、開業件数は年々増加しており、患者にとっての選択肢が広がる一方、クリニック同士の競争はかつてないほど激化しています。特に東京などの都市部では、エリアによって差はあるものの、まさに「激戦区」と呼ぶにふさわしい状況でしょう。

 

近年では、診療報酬改定のタイミングと同じ時期に、厚労省が外来医師過多区域での新規開業に対する要請・ペナルティを含む「医師偏在対策を公表するなど、新規開業を取り巻くハードルは実質的に高くなっているのが現状です。

 

こうしたなか、クリニックはさまざまな手法で「新規患者の獲得」に奔走しています。
代表的な自社HPの充実や「SEO(検索エンジンの最適化)」、「MEO(マップエンジンの最適化)」といった検索対策は、クリニックといえどもはや“やって当たり前”の基本施策です。近年ではここに加えて、「AIO(AI検索最適化)」と呼ばれるAIに選ばれるための対策まで求められるようになりました。

 

さらには、Google広告などのリスティング広告(検索連動型広告)InstagramLINEを活用したSNS広告。こうしたオンライン施策を幅広く展開しなければ、十分な新患獲得が見込めない時代になりつつあります。

 

このように、新患獲得競争が激化し、集患施策が複雑化するなかで、開業の第一歩となる「内覧会」のあり方にも大きな変化が起きていることはご存じでしょうか。

内覧会の企画・運営に欠かせない「KPI」とは

クリニック開業前後に地域の方々に院内をお披露目する「内覧会」ですが、結論からいうと、いまや「ただ開催して、とりあえず多くの人に来場されることを目指すという単純なものではなくなっています。

 

筆者がコンサルタントとして内覧会の企画・運営に携わるなかでもっとも重視しているポイントは、「KPIとしてなにを設定するか」という点です。

 

※ KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標。ゴールにどれだけ近づいているかを計測するための中間目標のこと。

 

来場者数の最大化を目指すのか、検査予約や診察予約の獲得を優先するのか、あるいは会員登録やメルマガ、公式LINEといった今後の継続的な接点(囲い込み)を増やすのか……なにを重視するかによって、内覧会の企画設計は180度変わってきます。

 

1.「来場者数」を重視するケース(内科など)

地域の方々との接点づくりや認知度向上が重要となる内科では、「多くの人に来てもらうこと(来場者数の最大化」がKPIとなるでしょう。

 

この場合、来場者が気軽に参加でき、楽しめるような体験型の企画を取り入れるなど、「来たくなる内覧会」を構成することが効果的です。

 

最近では、スタッフが中心となってハンドメイド雑貨や加工食品などの販売を行う「マルシェ」を開催するなど、工夫を凝らした独自のイベントを組み込むクリニックも出てきています。

 

2.「検査予約数」を重視するケース(消化器内科など)

地域との接点は比較的限定されるものの、専門性が高く、1件あたりの単価も大きい内視鏡クリニックなどでは、「内覧会当日にいかに検査予約を獲得できるか(検査予約数の最大化)」が最重要KPIとなります。

 

この場合、内覧会ではたとえば問診が中心の「無料がん検診」を実施するといいでしょう。主な対象を高齢者に特化し、チラシでの訴求内容を工夫するなど、対象の層に確実に届く導線設計を行います。

 

こうすることで、全体の来場者数は大きく伸びないものの、高齢者の来場比率は確実に高まるでしょう。加えて、来場者が過度に多くならないことで、医師や看護師が高齢者とじっくりコミュニケーションを取る時間を確保でき、結果として内視鏡検査の予約につながりやすくなります。

 

筆者自身、この導線設計で内覧会を実施し、1回で約80件の検査予約獲得に貢献した実績があります。

 

3.「囲い込み」を重視するケース(歯科、皮膚科、小児科など)

近年はSNS活用の幅が広がっていることから、通院が前提となる科目では、当日の来場が難しい人にも中長期的な集患につなげるべく、「LINE登録者数の最大化」をKPIに設定するケースも増えています。

内覧会の強力な集客ツールはデジタル化へ

かつて、内覧会の集客方法といえば「チラシのポスティング」が主流でした。しかし、人々の情報接点が急速にデジタルへ移行している現在、紙媒体であるチラシの訴求力はじわりじわりと確実に落ちてきています。

 

一方、近年強力な集客ツールとして存在感を高め、成功事例が増えているのが「YouTube広告」です。

 

YouTube広告はコストパフォーマンスが非常によく、内覧会開催に向けた「認知獲得」においてきわめて高い効果を発揮します。動画広告は、院内の雰囲気や院長の人柄を視覚と聴覚の両面からリアルに伝えられるため、来院前の心理的ハードルを下げるうえでも有効です。

 

さらに、YouTube広告は「年齢」や「地域」などでターゲットを細かく絞り込むことができます。これは前述の「KPIに応じた企画設定・ターゲット設定」と非常に相性がいい点もメリットです。

 

たとえば「高齢者向けのがん検診」を訴求したい場合、「該当地域の60代以上」ピンポイントで広告を配信するといったことが、デジタル広告なら効率的に実現できます。

内覧会は「経営体質」を映す鏡

ここまで、クリニック開業における内覧会の最新事情とその変遷についてお伝えしてきました。結論としていえるのは、「昔のように、ただチラシを撒いてただ開催すればよいという時代は終わった」ということです。

 

いま、内覧会で成果を出すためには、企画の初期段階から明確な目標設定を意識し、来場者数の精緻な見積もりや当日のオペレーション確認、ターゲットに刺さる企画内容の検討を行うことが欠かせません。そして、従来の集客方法だけでなく、デジタル広告を上手に活用して、KPIに合致する最適な集客手法をチョイスする必要があります。

 

内覧会は、クリニックにとってはじめて地域と接点を持つ一大イベントです。このイベントをどれだけ計画的に準備・実行できるかは、開業時点でどれほど「経営視点」を持てているかを端的に示す試金石ともいえます。

 

クリニックの経営体質を強固で良質なものにするためにも、まずは「内覧会のクオリティ」に徹底的にこだわることが、これからの厳しい集患競争を生き抜くうえでのスタートダッシュとなるでしょう。

 

※ 内覧会を実施するにあたって、またYouTube広告などのデジタル広告を打つにあたっては、『医療広告ガイドライン』『薬機法』『景表法』などの各種法律遵守が必須となります。

 

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著者:石原 春潮(いしはら・はるしお)

株式会社船井総合研究所

メディカル支援本部内科支援部 マネージング・ディレクター

 

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