内装がもたらすクリニック経営への影響
クリニックの内装は、かつては今ほど重要性が認識されておらず、医療ディーラーなどから紹介された業者が一手に請け負っていました。
しかし、ネット検索やSNSの普及により誰もが簡単にクリニックへの評価などの情報を入手でき、比較が容易になった現在では、内装の重要性が高まっているようです。
馬場氏
「医師の知見や経験は、当然患者から選ばれる理由のひとつです。ただ、これからの時代は『内装が綺麗で、入りやすい』ことも、選ばれるための重要な要素になると思います。今はそれを実行しているクリニックとしていないクリニックが混在している状態ですが、これから集患で差が大きく開いていくのではないでしょうか」
そう語るのは、これまで数々のクリニックの設計を手がけてきた、SPAN MEDICAL Works(SPAN&Partners,inc)馬場俊輔代表取締役です。
内装では、「デザイン」と「機能面」を分けて考える必要があるという馬場氏。まず「デザイン」は、「HPやクリニック案内のポータルサイトに載っている待合室や受付カウンターの写真が、患者の目に留まるかどうか」が重要なポイントとなるそう。
馬場氏
「たとえば旅館やホテルをネットで探すとき、部屋やフロント、お風呂の写真などが良ければ、そこから興味を持ちますよね。当社が内装を手がける際も、待合室の居心地のよさとデザイン性には費用を投じてこだわってほしいと説明しています。患者さんは緊張しているので、緊張を和らげる意味でも、待合室の居心地のよさは大前提。具体的には、当社では優しい光が感じられる空間になるよう、光の使い方を意識しています」
次に、「機能面」でもっとも意識すべきことは「裏動線」だと馬場氏。医師がストレスなく複数の診察室や処置室を行き来できるように設計することが大事なようです。
馬場氏
「どの科も共通ですが、いわゆる『裏動線』が繋がっていることが大事ですね。医師は診察室を掛け持ちしながら動く場合が多いので、診察室同士や診察室と処置室に行き止まりを作らず、回遊できる形に設計することが重要だと思います」
また、科によっては、患者のプライバシーを重視した構造にすることも意識すべきだといいます。
馬場氏
「たとえば内科は、人が待合室に大勢いる姿を見せたほうが集患に効果的です。一方、たとえばメンタルクリニックのようなセンシティブな科の場合は、患者さんが壁を向くように椅子を配置するなど、患者同士が目を合わせない工夫が必要になります。
また、産婦人科なども診察室のなかが見えないよう、待合室と診察室のドアの位置に気を遣うほうがよいでしょう。メンタルクリニックや産婦人科では、医師との会話が外に聞こえないように防音のレベルを高めることも意識したいですね」
クリニック内装費用の相場は?
物件探しからスタートする場合、そこからクリニック開業に向けては、下記のような順序を踏みます。
①内装業者が医師の希望や診療内容などをヒアリングし、坪数の目処をつける
②物件を見つけて設計する
③レイアウトが決まったら、見積もり金額を計算
④契約
⑤着工
このときに押さえておきたいのが、開業にかかる費用の相場です。
馬場氏
「レイアウトを決めたら、当社の場合はデザインパースというCGで3Dのデザインを出します。その後に見積金額を出して契約、着工という流れですね。費用の相場は年々上がっていて、平均的な35坪程度のクリニックの場合、一般的には坪100万円程度を見ておくといいかもしれません。トータルでは3,500万円程度を考えておけばいいのではないでしょうか」
また、工事費が高騰し、ふんだんに費用を投じづらくなってきている今だからこそ、大切にしたいポイントとして、馬場氏は「色」の使い方を挙げます。
馬場氏
「デザインに関して、これからの時代は色をうまく使うことが大切だと考えています。色を使いこなせる設計者やデザイナーはそう多くはありません。特に建築系の人は苦手な傾向があると思います。
金銭的な話をすると、少なくとも当社は、色を入れても白のままでも、金額は変わりません。だからこそ、開業医が内装のイメージを膨らませるうえで『色』にもこだわるという意識を持つことをおすすめします」
内装業者はどう選ぶ?…トレンドにも注目
内装業者を決めるうえでも、大事なポイントがあります。
馬場氏
「まずはその会社のこれまでの実績を見て、それが気に入ったらお願いするのが間違いないと思います。ただ、会社によって得意とする領域はさまざまなので、そこは見極めたほうがいいでしょう。探し方は、基本的には自分で動いたほうがいいですね。医師は多忙のため自分から動かれない人も多いですが、ネットなどでデザイナーを探し、自分の足で物件を選ぶことが後悔のないクリニックづくりにつながると思います」
また、内装のトレンドも意識しておきたいポイント。たとえば、内装でどのような色を使うかも、時代によって傾向があるようです。
馬場氏
「時代によって変わるので一概に言えない部分もありますが、現状でいえば、グレーとベージュの中間のような“グレージュ”という色が流行っていますね。また、木目も黄色い木目ではなくグレーの木目が流行りです。
さらに言うと、昔は濃い木目が圧倒的に多かったのですが、最近は薄い木目がよく使われます。ほかには、たとえば10年ほど前は院内に人工の観葉植物を置くのが流行しましたが、今はそのような依頼は多くありません」
内装は、クリニックの印象を大きく左右し、医師の働きやすさにも直結する重要な要素。それだけに考えなければならないポイントは多く存在しますが、「どんどんフランクに相談してほしい」と馬場氏。
内装業者としっかりコミュニケーションを取りながら、今回紹介したポイントを参考にして、納得のいく内装づくりを目指してはいかがでしょうか。
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著者:インタビュアー/ライター:河鰭 悠太郎
インタビュアー:SPAN MEDICAL Works(SPAN&Partners,inc)馬場 俊輔 代表取締役
提供:© Medical LIVES / シャープファイナンス
