定年や早期退職を機に、地元に戻る人も。セカンドライフは地元でのんびりと――。しかし、理想と現実のギャップに直面し、悩む人も珍しくありません。念願の地元Uターンを果たしながらも、想定外の壁に突き当たった男性のケースを通して、新たなライフスタイルの在り方を考えます。
「こんなはずじゃなかった…」〈退職金2,400万円〉で地元へUターンした57歳男性、わずか1年で「東京の賃貸」へ舞い戻った想定外の理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

「ああ、私は東京が好きだったんだ」という気づき

孤独な日々のなかで、遠藤さんは東京での生活を思い返すようになりました。東京での暮らしのほうが長くなっていた遠藤さんは、離れてみて初めて東京への愛着を自覚したといいます。

 

「東京にいた頃のほうが、自分の好きなように過ごせました。騒がしいけれど、何かと楽しいこともたくさんありましたし。私は東京での暮らしがこんなに好きだったんだと、離れてみて初めて気づきました」

 

遠藤さんは、地元での生活に1年ほどでピリオドをつけ、再び東京へと戻ってきました。現在は、以前暮らしていたエリアに近い場所で、再び賃貸マンションを契約。仕事は、IT関連の会社で契約社員として働いています。

 

早期退職前と比べて収入は半分程度になりましたが、地元で働いていた頃よりは収入増となったとのこと。早めにセカンドライフをスタートさせたと思えば、現在の収入で十分だといいます。

 

また地元の実家は手放すことなく、そのまま維持することにしました。管理費に年50万円強を払い、きれいに保つことに決めたのです。東京に戻ってみると、のんびりした地元の雰囲気も素敵だったと気づいたためです。たまの長期休暇には、実家に戻ってのんびりと地方暮らしを満喫しています。

 

遠藤さんのように、完全に移住・定住してしまうと人間関係で行き詰まるケースがある一方で、近年は新しい地域との関わり方が注目されています。総務省が推進する「関係人口」という概念です。

 

関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指します。総務省の検討会報告書等でも、地域づくりの担い手や多様な関わり方をする「関係人口」の創出・拡大が急務とされています。遠藤さんの場合、地域に完全に溶け込む移住には失敗したものの、地域との適切な距離感を見直すことで、結果的にこの「関係人口」としての関わり方へシフトしていくことになりました。

 

「東京の良いところも、地元の良いところも、どちらも満喫できる——私のセカンドライフは、随分と贅沢ですね」

 

そう言って笑う遠藤さんは、東京での新たな生活をスタートさせています。