経済状況が二極化する中で「見せない豊かさ」を選ぶワケ

かつては「一億総中流」と呼ばれたこともあった日本。しかし現在では、高齢者の間でも資産格差は明確になっています。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)(令和5年)」によると、60代で貯蓄300万円未満の割合は15.1%の一方で、3,000万円以上の人は19.0%。70代でも、貯蓄300万円未満の割合は14.8%の一方で、3,000万円以上の人は18.9%。つまり、「高齢者はみんなお金持ち」でも「みんな困窮している」でもなく、経済状況は二極化していることが見て取れます。

現役時代の職業、退職金の有無、年金額、住宅ローン、子どもの教育費……。さらに、若い頃から投資や資産形成をしてきたかどうかでも、老後の経済状況は大きく変わります。

逸男さんのように、長期投資によって大きな資産を築いた人もいれば、予定利率が高かった時代の生命保険商品を長期保有し、大きな返戻金や年金を受け取っている高齢者もいます。その一方で、予定していた老後資金が足りず、不安を抱えて暮らしている人も少なくありません。

「お金がある人は、何の心配もなくて幸せそう、羨ましい」そう思う人もいるでしょう。しかし、周囲との距離感を適切に取らなければ、トラブルに巻き込まれる可能性がある。そうした中で、逸男さんのようにあえて資産を表に出さず、日々の節約をゲームのように楽しんで静かに暮らす――いわゆる「ステルス・リッチ」と呼ばれる生き方が広まっているのです。

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