空き家問題が深刻化する日本において、居住中の住宅であっても深刻なダメージを受ける「害獣被害」。市近郊の住宅街でも増加傾向にあります。平穏な暮らしを突如奪われたある一家の事例を通して、住まいの維持管理に潜むリスクについてみていきます。
「なんか臭い…」月収45万円・48歳サラリーマン、ある夜に気づいた異臭。築15年のマイホームを襲った“黒い来客”の正体 (※写真はイメージです/PIXTA)

資産価値への影響と200万円の修繕費

コウモリは鳥獣保護管理法により、許可なく捕獲や殺傷をすることが禁じられています。そのため、対策は「追い出し」「侵入経路の封鎖」「清掃・消毒」の手順で行われます。

 

佐々木さんのケースでは、汚染された断熱材の全交換に加え、糞尿による汚損が進んだ木材の補修、家全体の隙間を塞ぐ防鳥ネットの設置が必要となりました。提示された見積額は、諸経費込みで約200万円に達しました。

 

「当初は数万円で済むだろうと高を括っていました。しかし、放置すれば構造材が傷み、家の資産価値そのものが損なわれると説明され、支払わざるを得ませんでした。老後のための貯蓄を切り崩すことになり、住宅ローンの完済計画も大きく狂ってしまいました」

 

こうした害獣被害は、管理の行き届かない「空き家」だけの問題ではありません。消防庁『消防統計』などを参考に住宅の構造的特徴を探ると、近年の高気密・高断熱住宅は、一度害獣が侵入すると内部が保温されやすく、繁殖場所になりやすいという側面があります。また、日本の総住宅数に占める空き家の割合は、総務省『令和5年住宅・土地統計調査』によると13.8%と過去最高を更新しており、近隣の空き家で繁殖した個体が、周辺住宅へ移動するケースが増えています。

 

さらに、被害は建物の汚損だけに留まりません。コウモリの糞尿は乾燥すると空気中に飛散し、アレルギー症状や、カビ・ウイルスなどによる感染症を引き起こすリスクがあります。BEST株式会社が実施した実態調査でも、被害発覚後に「衛生面への不安」を訴える居住者が多く、放置する期間が長引くほど、住居だけでなく家族の健康リスクを高めます。ひいてはそれらに伴う医療費や追加の消毒費用といった、二次被害を招く要因にもなりかねません。

 

「もし、あのとき最初のフンに気づいてすぐに対策を講じていれば、被害は数万円で抑えられたかも」と、佐々木さん。「外観が綺麗だから大丈夫、という根拠のない自信はダメですね。気づいた時点で、一刻も早く実態を把握して動くべきでした」と後悔の念を抱いています。

 

[参考資料]

BEST株式会社/害虫害獣コンシェルジュ『【リアル調査】コウモリを見かけたら、実は自宅に棲みついていた!被害の実態をリサーチ』