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会社や家族が支えだった…孤独で気づいた「つながり」の大切さ
妻と息子が家を出て行ってから数ヵ月間、ろくに誰とも会話すらしない生活のなか、ケンジさんは初めて「会社や家族というコミュニティが自分の精神的支柱だったこと」に気づきます。
ようやく反省したケンジさんは妻に謝罪をするも、妻の反応は想像とは違うものでした。
「やっと冷静になったのね。でも、すぐに元通りは難しい。しばらくは今のまま距離を置かせてほしい」と突き放され、すぐに家族の絆を取り戻すことはできませんでした。
自身の生活費に加えて妻子への仕送りが重なり、資産が減っていく恐怖を覚えました。しかし、それ以上にケンジさんを追い詰めたのは、底知れぬ孤独感でした。
そして、社会とのつながりを求めて再就職活動を始めますが、転職市場は50代の元管理職を温かく迎え入れてはくれませんでした。
「いまさら戻りたいなんて、都合がよすぎませんか」元部下からの冷酷な宣告
年功序列の企業で順当に出世して培ったのは「社内政治の立ち回り」や「自社特有のルールの熟知」ばかり。他社でも通用するようなスキルを持たないケンジさんの市場価値は驚くほど低く、何十社応募しても面接にすら進めません。
焦ったケンジさんは、恥を忍んで元上司に連絡を取り、「給料は下がってもいいから、もう一度働かせてください」と懇願しました。元上司は「一度話だけは聞いてやる」と、面談を設定してくれました。
しかし面談の席には、ケンジさんの後任として昇進した元部下も同席していたのです。
「あなたがマニュアルも残さずに無責任に辞めたせいで、現場がどれだけ混乱したか……。いまさら戻りたいなんて、都合がよすぎませんか」
元部下の冷ややかな言葉に、ケンジさんは顔から火が出るほど恥ずかしくなり、うつむくしかありませんでした。結局、復職は叶わず、現在は時給制の派遣社員として、簡単な事務作業をする毎日を送っています。