(※写真はイメージです/PIXTA)
自分たちは選ばれた存在だと思っていた
「今思えば、完全に浮かれていました。あのころの自分たちに『身の丈を知れ』と言ってやりたいです」
都内にある築45年のマンションの一室で、佐藤達也さん(45歳・仮名)は自嘲気味に笑います。4年前、達也さんは妻の美紀さん(43歳・仮名)とともに、東京・中央区の湾岸エリアに1億円超のタワーマンションを購入しました。
当時の世帯年収は1,800万円。達也さんが1,200万円、美紀さんが600万円を稼ぎ、互いの連帯債務によるペアローンを組みました。不動産会社からも「おふたりであれば、心配ありません」と太鼓判を押され、さらに低金利の後押しもあり、9,000万円ローンの30年返済を選択。月々の返済と管理費、修繕積立金、さらに駐車場代を合わせると、住居費は毎月35万円を超えていました。
「当時、ふたりの月収に対して、住居費は3割を超える程度。特に支払い負担が重いと感じることもなく、妥当だと思っていました。実際、共働きだったので外食も多く、子どもの教育費にも妥協はしていなかった。ここにふさわしい生活を送っていたと思います」
しかし、タワーマンション購入から3年ほど経ったころ、事態は急転します。美紀さんがプロジェクトの重圧から適応障害を発症。休職を経て、最終的に退職を余儀なくされました。世帯年収は達也さんの1,200万円のみに激減。手取りに換算すれば月50万円程度です。ここから35万円の住居費を引けば、残りはわずか15万円。これで家族3人の食費、光熱費、教育費を賄うのは物理的に不可能でした。
「最初は貯金で粘りましたが、1年ほどしかもたないのは確実でした。妻の体調を考えると、再就職を前提にするのは酷です。ちょうど不動産価格も上昇しており、購入時よりも高く売れそうなことがわかったため、売却を決心しました」
その後、「子どもの学区は変えたくない」と、同じエリアの築45年の賃貸マンションに転居した佐藤家。家賃は月23万円。以前ほどではないにしろ、生活は決して楽ではないといいます。
「はっきりいって、『おふたりであれば、心配ありません』という言葉を鵜呑みにして、完全に調子に乗っていました。身の丈を知るべきでした」
