30代から40代の会社で「中堅」と呼ばれる層は、人生で最も支出が多い時期に差し掛かっています。長期の住宅ローン、教育費の増大、そして2026年現在の利上げ局面。多くの家庭が「右肩上がりの年収」を前提に家計を組んでいますが、特にSEという職種においては、その前提となる「エンジニアとしての市場価値」には、かつてないほどのスピードで賞味期限が迫っていることをご存じでしょうか。今回はAさんの事例から、IT講師兼FPの川淵ゆかり氏が、AI時代におけるSEの立ち位置と、2027年・2029年問題が中堅SEに与える影響について解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
実は、コードが書けないままこの歳になりました…年収550万円・35歳中堅SE、GWの親戚の集いで「高校生の甥っ子の一言」に青ざめたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

2027年、「情報I世代」の襲来で始まる“エリートの選別”

2022年度から、高校で「情報I」が必修化されました。情報Iとはプログラミング、情報セキュリティ、ネットワーク、データ活用(統計・シミュレーション)の4つを実習形式で学ぶ授業で、高校段階でITの基礎を体系的に身につけることを目的としています。

 

昨年2025年には大学入学共通テストにも追加され、初年は易しめの出題でしたが、今年2026年は難化が進んでいます。

 

そして2027年、専門学校に進んだ情報I世代が20歳になり、IT業界に大量に入ってきます。4年制大学であれば2029年、大学でさらに専門性を深めた層が本格的に社会に出てきます。彼らは新社会人でありながら、すでにAIを使いこなし、コードも書けます。まさに、企業が喉から手が出るほど欲しがる人材でしょう。

 

一般企業も「ITスキルのある人材」を求めている

近年、企業を悩ませているのが「サイバー攻撃」の増加です。地政学リスクの高まりもあり、2023年~2026年の過去3年で500件以上の被害が公表されています。

 

また、経済産業省は、2026年度末ごろを目指して「サプライチェーン対策評価制度(SCS評価制度)」を開始すると発表しました。これは、取引先企業にもセキュリティ対策を求める制度で、IT企業だけでなく、製造業・小売・医療・物流など、あらゆる業種が対象になります。

 

さらに2027年末には、多くの企業で利用されているSAPの基幹システム(SAP ERP 6.0〈ECC〉など)の標準保守が終了すると発表されています。サポートが終われば、「法改正への対応」や不具合修正、セキュリティパッチが受けられなくなり、企業は新システムへの移行を迫られます。

 

その結果、セキュリティ・データベース・プログラミングのスキルを持つ技術者の需要が急増するとみられているのです。セキュリティの基礎を理解している「情報I世代」は、業種を問わず、一般企業でも強く求められる存在となるでしょう。