親の老いや介護を家族で支え合うのは美徳とされますが、その信頼が時に取り返しのつかない悲劇を招くことがあります。ある在宅介護のケースから、介護負担の不均衡から生じる歪み、高齢者虐待の背景にある法的課題についてみていきます。
「バカでした…」年収1,200万円のエリート息子が絶句。実家の通帳に刻まれた〈1,000万円の引出し〉と、認知症の母が漏らした「戦慄の告白」 (※写真はイメージです/PIXTA)

介護ストレスが招く親族間横領の現実

厚生労働省の資料によると、介護を担う親族が高齢者の資産を不当に消費する行為は、現代社会において深刻な「経済的虐待」に該当します。

 

同省『令和4年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査』によれば、養護者(高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等)による虐待と判断された事例は1万6,669件に上ります。そのうち、最も多いのが「身体的虐待」で65.3%。「心理的虐待」(39.0%)、「介護等放棄」(19.7%)、「経済的虐待」(14.9%)と続きます。経済的虐待は、数にすると2,500件弱に達しています。

 

また、虐待者側の要因としては「介護疲れ・介護ストレス」が54.2%で最多となり、「理解力の不足や低下」(47.9%)が続きます。この結果から、閉鎖的な介護環境が加害者の精神状態を不安定にさせている実態が浮き彫りになっています。

 

こうした親族間の金銭トラブルに対し、法的な解決を試みても厚い壁が立ちはだかります。刑法第244条が定める「親族相盗例」により、直系血族や同居親族間での窃盗や横領は、その刑が免除されるためです。警察に相談しても、事件性が認められず「民事不介入」として扱われるケースが少なくありません。

 

家族間の善意に基づいた口約束による管理は、介護負担の不均衡から生じる「歪んだ特権意識」や「代償行為」を誘発する恐れがあります。これを防ぐためには、家庭裁判所が関与する後見制度や、契約によって資産の使途を限定し、第三者が監督する家族信託などの客観的な枠組みの活用が不可欠です。内藤さんのように「金銭を渡して任せきりにする」のではなく、管理状況を透明化することが何より重要です。

 

 

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