(※写真はイメージです/PIXTA)
「お義母さん、最高!」完璧すぎる終活に拍手だったが……
「本当に、できた義母だと思っていたんです。あの時までは……」
都内のメーカーに勤務する佐藤美咲さん(46歳・仮名)は、力なく笑います。物語の始まりは、義母の和子さん(80歳・仮名)が切り出した、義実家の売却話でした。和子さんは月16万円の年金を受け取りながら、郊外の広めの一軒家で一人暮らしをしていました。将来の介護や相続を案じていた美咲さん夫婦に対し、和子さんは驚くほど合理的な提案をします。
「私が動けるうちに、この家を売って老人ホームに入るわ。現金にすれば、あなたたちきょうだい3人で分けるのも簡単でしょ。余計な苦労はさせたくないの」
この言葉に、美咲さんの夫(48歳・仮名)は「母さん、ありがとう! 助かるよ」と手放しで喜びました。美咲さんも「なんて物分かりの良いお義母さんなの!」と、その神対応に感激したといいます。
売却手続きはスムーズに進み、和子さんは自ら見つけた「看取り対応、月額費用20万円(年金+貯蓄取り崩し)」のホームへ入居。美咲さん夫婦も、これを機に「実家での同居」という将来の懸念が消えたため、義実家の近くにあった新築建売の一軒家を購入しました。
「ここなら、お義母さんが入居しているホームにも車で20分くらいですし、駅近で通勤も便利。いいところに家を見つけたと思っていました」
しかし、新生活がスタートして間もなく、一本の電話で平穏な日常が一瞬にして崩壊します。相手は、遠方に嫁いでいたはずの義妹・由香さん(42歳・仮名)でした。
「お兄ちゃん、私、離婚することにして。今、子ども2人連れて駅に向かってる」
ここ最近、連絡が疎遠になっていたという夫と義妹。どうやら、義妹夫婦のトラブルが原因だったようです。「連絡すると、面倒なことに巻き込まれるかもしれないと思って……」と漏らす夫。そのため、実家を売却したことなども、しっかりと伝えていなかったのです。
夫の説明に、由香さんの言葉は加速します。「家を売った? 何勝手なことしてんのよ!」「離婚したら実家に帰って、パートしながら子育てするつもりだったのに、どうするのよ!」。電話越しでもわかる由香さんの怒りと混乱。美咲さんが受話器を代わろうとした瞬間、トドメの「まさかの一言」が突き刺さりました。
「実家がないなら、とりあえずお兄ちゃんの家に住むしかないよね。もう子どもの転校手続きもこっちで進めてるから。荷物はそっちに送るわ」
「ちょっと、勝手に決めないでよ!」という夫の叫びも虚しく、数日後、美咲さんの家の前には大量の荷物が積み上げられました。
「お義母さんの『良かれと思って』の売却が、まさか義妹家族の襲来を招くなんて……。ローンを抱えたばかりの我が家が、避難所扱いだなんて……」
