(※写真はイメージです/PIXTA)
黒字を「資産」として固定化できない2つの要因
理論値と現実にこれほどの差が生じる理由は、主に2つの構造的な要因に集約されます。
第1に、家計調査における「黒字」には、預貯金のほかに住宅ローン等の元本返済が含まれている点です。各世帯は800万円〜1,600万円規模の負債を抱え、月々の黒字の多くは現金資産として積み上がる前に、負債の解消(住居費の後払い)に充てられているのが実態です。
第2に、預貯金として保有される資金は流動性が高く、容易に引き出せる点です。子どもの教育費、住宅のリフォーム、あるいは日々の生活における余剰感からくる支出など、黒字が「資産」として固定化される前に、ライフイベントごとに消費されていく傾向があります。
つまり、統計が示す「理論上の積立額」に到達できないのは、家計に「余力がない」からではなく、「余力を資産としてロックする仕組み」が不在であるからだと言い換えられるでしょう。
この構造的な課題を解決する手段のひとつが、新NISA等を通じた「投資信託」による積立です。積立投資の真の価値は、単なる運用益の追求だけではありません。月々の黒字を「支出可能な預金口座」から物理的に切り離し、「容易に引き出せない資産」としてシステム的に固定化することにあります。
もし、年収500万円層の黒字(約11万円)のうち、約半分にあたる5万円を30年間、年利3%(長期分散投資の保守的な期待値)で運用し続けた場合、運用結果は約2,913万円に達します。これは現在の同所得層の平均貯蓄額を約1,900万円も上回る数字です。
「投資は余裕ができてから」と考えるのではなく、むしろ「余裕(黒字)を確実に守るために、少額からでも投資という仕組みに組み入れる」という発想が、統計上の理論値に近づくための近道といえそうです。
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