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統計から見る「世帯年収と貯蓄額」の相関
まず、日本国内の世帯が実際にどの程度の余剰資金を生み出しているのか、確認しましょう。
厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、1世帯当たりの平均所得金額(税金や社会保険料が差し引かれる前の総所得)は536.0万円。しかし、この数字には高齢者世帯(平均314.8万円)も含まれています。
そこで、総務省『家計調査(貯蓄・負債編)2024年 平均結果』を用い、二人以上の勤労者世帯における年収区分別の「月あたりの黒字(実収入から実支出を差し引いた額)」を見ていきましょう。
【世帯年収区分別・月の黒字額】
●世帯年収500万円層(年収500万円〜550万円):11万1,241円
●世帯年収800万円層(年収800万円〜900万円):22万2,886円
●世帯年収1,500万円以上層:51万4,676円
ここで注目すべき点は「貯蓄率(可処分所得に対する黒字の割合)」です。年収500万円世帯の貯蓄率が約26.5%であるのに対し、年収1,250万円以上の世帯では43.9%。年収が上がるにつれて、生活費の増加以上に余剰資金が生み出される割合が高まる傾向にあります。
次に、これらの黒字分をすべて「預貯金」に回した場合、リタイアまでの30年間でどの程度の資産が築けるかを考えてみます。現在の日本の大手銀行における普通預金金利(年0.30%)を想定した場合、積立結果は以下の通りです(端数切り捨て)。
【世帯年収区分別・30年の積立額】
●世帯年収500万円層:4,004万6,760円
●世帯年収800万円層:8,023万8,960円
●世帯年収1,500万円層:1億8,528万3,360円
※年複利、利息期初組み入れ、税引き後(課税20.315%)で試算
この計算結果からは、平均的な年収500万円世帯であっても、統計上の黒字を維持できれば預金だけで4,000万円の資産を築けることになります。「老後資金2,000万円不足問題」という目標は、理論上は十分に達成可能な範囲内にあるといえるでしょう。
一方で、同調査による「実際の貯蓄保有額」と「負債額」を見ると、現実はそう簡単ではありません。理論上の貯蓄額と、現実の貯蓄額との間には、非常に大きな乖離が存在します。
【世帯年収区分別・貯蓄額と負債額】
●世帯年収500万円層:貯蓄1,002万円/負債859万円
●世帯年収800万円層:貯蓄1,575万円/負債1,155万円
●世帯年収1,500万円層:貯蓄3,881万円/負債1,624万円
本調査は特定の時点における各世帯の状況を調査した「点」のデータであり、同一世帯を30年間追跡したものではありません。現在の年収500万円世帯が、30年後も同じ年収・同じ支出構造で推移し続けるわけではなく、実際には昇給やライフステージの変化による変動が存在します。
しかし、このデータを繋ぎ合わせて見えてくるのは、人生の各ステージで資産が外へ逃げてしまう「お金の抜け道」です。
