手取り15万円、貯蓄はわずか300万円。それでも実家で両親の「月25万円の年金」に完全に依存し、趣味やランチを楽しむ気楽な独身生活を謳歌していたアキコさん(仮名・52歳)。しかし、高齢の両親が体調を崩したことで、その安泰な生活に終わりの足音が近づきます。親の心配どころか「このままだと私の人生まで終わる!」とパニックを起こす彼女が直面した現実とは。
両親の〈月25万円の年金〉にすがって実家暮らし…「親が死んだら私の老後も終わる!」手取り15万円・52歳娘の〈絶望のカウントダウン〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

「あと8年は生きてもらわないと困る」親の寿命に怯え、自立を迫られる現実

「ちょっと待って……。お父さんたちがいなくなったら、この家の支払いって全部私がするんだよね……?」

 

日々の食費や光熱費はもちろん、実家の固定資産税までもアキコさんが払うことになります。手取り15万円の収入では、実家を維持して食べていくだけで完全に赤字です。貯金の300万円など、家の修繕費や何かのアクシデントがあればあっという間に底をついてしまいます。

 

「無理よ、絶対に無理! せめて私が年金をもらえるようになるまで、あと8年は生きてもらわないと困る! 死なれたら、私の老後まで終わっちゃうじゃない……!」

 

アキコさんがいう「あと8年」とは、自身の年金を繰上げ受給できる60歳までの期間のことです。両親の命を心配するよりも、自分の年金受給までの「逃げ切り計算」にパニックを起こすアキコさん。

 

親の寿命が自らの経済的寿命に直結しているという事実に怯えながら、今日も実家の自室で、具体的な対策を何ひとつ打てないまま過ごしています。

高齢親の年金に依存する「パラサイト・シングル」の潜在的リスク

アキコさんのように、高齢の親の経済力に頼って生活する中高年の未婚の子の存在は、現代社会における深刻な課題となっています。内閣府が発表した「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、高齢者の実態が客観的なデータとして示されています。

 

同調査によれば、同居・別居にかかわらず「子や孫の生活費を負担している(子や孫の生活費をほとんど負担している、または一部を負担している)」と回答した高齢者は全体の25.2%にのぼります。特に60代の高齢者においてはその割合が3割を超えており、親世代が子世代の経済的なセーフティーネットとして機能している状況がうかがえます。

 

また、高齢者自身の経済的な暮らし向きについては、約65.9%が「心配なく暮らしている」と回答しており、年金収入を中心とした親世代の安定した家計が、非正規雇用などで収入が不安定な子世代の生活を支えている構図が浮き彫りになります。

 

しかし、親の年金や資産、寿命はいずれ終わりを迎えます。親の介護が必要になれば出費は増え、親が亡くなれば世帯収入は激減します。経済的な自立を先送りにしてきた結果、親の死と同時に子自身も生活困窮に陥るリスクは高まります。

 

さらに深刻なのは、経済面だけでなく「社会的なつながり」までもが断たれてしまう点です。内閣府が実施した「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」によれば、現在の自身の孤独感に影響を与えたと思う出来事として、「家族との死別」を挙げた人が24.6%で最も高く、次いで「一人暮らし(18.8%)」となっています。

 

長年、実家という閉鎖的な環境で両親だけに依存してきたアキコさんのようなケースでは、親の死によって突然「一人暮らし」を余儀なくされます。社会との接点を構築しておかなければ、経済的な破綻と同時に、誰にも助けを求められない孤独に陥りかねません。

 

手遅れになる前に、親子で将来の生活設計と自立に向けた話し合いをする必要があるでしょう。

 

[参考資料]

内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」