(※画像はイメージです/PIXTA)

退職金というまとまった大金を手にしたとき、高揚感とともに「このまま口座に置いておくと使ってしまうのではないか」という不安を抱く人も少なくありません。そこで今回、社会保険労務士の三藤桂子さんが、退職金を受け取った2組の相談者の事例をもとに、60代からはじめる資産形成のポイントを解説します。

それぞれの相談者に適した資産形成とは

 

今回の二組の相談者は、環境や背景は違うものの、「定年までに十分な資産形成ができなかった」という共通点がありました。

 

そのようななかで、Aさんは「一括の資金」をどう守るか、Bさんは「毎月の収入」からどう積み上げるか、という課題に直面しています。

 

「一括の資金」を守りたいAさんのケース

65歳まで再雇用で働く予定のAさんですが、再雇用後の給与は定年前の半分以下に落ち込んでいます。このように、「再雇用で収入が半減する」場合、まずは数年分の生活費や医療費といった「万一の備え」を現預金で確保することが最優先です。

 

そのうえで、Aさんにおすすめしたのが、NISAの範囲内で行う「投資信託」への投資です。

 

投資信託とは、投資家から集めた資金をプロの専門家が投資家に代わって運用してくれるため、自分で銘柄を選ぶ必要はありません。投資信託自体に分散投資の性質があるため、個別株などに比べてリスクを抑えられるのが特徴です。

 

また、分配金が出る投資信託を選べば、資産を切り崩す心理的な抵抗を抑えつつ、年金以外の「第2の財布」として現金を確保する仕組みを作れます。

※投資信託の分配金とは、運用で得た収益(配当や売買益)の一部から、定期的(決算時)に支払われる(投資家が受け取る)お金のこと。

 

「毎月の収入」で資産形成を目指すBさんのケース

対するBさんは、65歳の定年まであと5年あります。「貯める習慣」がなかった自分を変えるため、NISAの「つみたて投資枠」を活用しながら、給与から天引き感覚で資産を形成する仕組みの構築をおすすめしました。

 

ここで学ぶべきは「時間」と「分散」の力です。たとえ60歳からであっても、10年、15年というスパンで運用を続ければ、複利の効果を享受できる可能性は十分にあります。

 

Bさんは「自分のスキルを活かして、70歳まで、あるいは独立してでも生涯現役で働くことも考えている」と、働き方の再構築も視野に入れており、「稼ぐ力」と「運用の仕組み」を両立させる、現代シニアの理想的なモデルケースといえるでしょう。

 

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本記事は、株式会社セゾンファンデックスが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。