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奨学金問題は社会課題へ…企業と社会に求められる新たな支援のかたち
20代~40代の貸与型奨学金を利用していた会社員100名を対象としたアンケート調査(※)では、こうした「みえない負担」の実態が明らかになっている。
同調査によると、奨学金返済者の約7割が日常的にストレスを感じ、3人に1人が「ほぼ毎日・よくある」と回答している。さらに4割弱が気分の落ち込みを経験し、不眠などのかたちで心身へのなんらかの影響が表れているようだ。
これは決して一部の人の話ではない。Aさんのように、真面目に働き、社会を支える役割を担っている若者ほど、その負担を静かに抱え込んでいる可能性がある。
さらに深刻なのは、結婚や出産、転職、自己投資といった人生の重要な選択において、奨学金返済がみえない「ブレーキ」として機能している実態だ。個人の困窮にみえて、その影響は少子化や労働力不足といった、日本の構造的な社会課題にもつながっている。
一方で、企業側の意識にも変化がみられる。奨学金代理返還制度の有無が就職先選択に影響するという結果は、若手人材が「生活の安定」を強く求めていることの表れだろう。企業がこうした支援を行うことは、単なる福利厚生の一環ではない。従業員が安心して働き、自らの将来を具体的に描ける環境を整えることは、結果として離職防止や生産性の向上、ひいては組織の持続的成長につながる「投資」といえる。
Aさんのような若者が、自らの志を諦めずに選択できる社会であるために、奨学金を「借りて終わり」にしない仕組みを、いま社会全体で考えていく必要があるのではないだろうか。
大野 順也
アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長
奨学金バンク創設者