(※写真はイメージです/PIXTA)
「よくあること」だった支援と、その積み重なり
同居から約1年後、節子さんが通帳の残高を確認したとき、ある違和感を覚えました。
「思っていたよりも減っているんです」
大きな買い物をしたわけではありません。それでも貯蓄は確実に目減りしていました。
「改めて計算してみたら、追加で出ているお金は月7万円前後になっていたんです」
年間に換算すると、およそ80万円以上の負担です。「そこまで使っている感覚はなかったのですが……」と節子さん。食費や光熱費に加え、孫の教育関連費や生活費の補填が重なった結果でした。こうした「子ども世帯への支援」は、決して珍しいものではありません。
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』の「3.経済的な暮らし向きについて(問22)」によると、子や孫の生活費を負担している高齢者は一定数存在し、その内容は「食費」「生活費」「教育費」など多岐にわたります。また、総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』では、65歳以上の無職夫婦世帯は月平均で約4万2,000円の赤字となっており、もともと貯蓄を取り崩す構造にあります。
「月7万円が生活費にのると、資産の減り方が一気に変わります」と博さん。一方で、長女の生活も厳しい状況でした。厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』によると、児童のいる世帯の64.3%が生活を「苦しい」と感じており、ひとり親世帯ではその割合はさらに高いとされています。
「助けたい気持ちは山々でした。でも、このままで共倒れにならないかという不安も大きくて……」
ある日、夫婦は長女との話し合いの場を設けました。
「できる限りのことは続けたい。ただ、毎月の負担額は見直したい」
長女も状況を理解し、就労後は生活費として月3万円を家計に入れる形に。「最初に決めておくべきだった、と痛感しました」と博さん。同居は家族を支える現実的な選択肢のひとつです。しかし、期間や負担の範囲を曖昧にしたまま始めると、支出の全体像が見えにくくなります。
「今回のことで「助けること」と「すべてを抱え込むこと」は違うと実感しました」
老後の家計は収入が限られるなかで成り立っています。そこに新たな生活費が加わる場合は、早い段階でしっかりと役割分担を決めておくことが、長期的な安心につながるといえます。
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