「現役時代は人並みに働き、平均的な年金も受け取っている。それなのになぜ、これほど生活が苦しいのか」。そう嘆く70代男性。かつて「中流」と呼ばれた世帯が、定年後の平穏な日常を維持することさえ困難になり、日々のささやかな楽しみに対してさえ罪悪感を抱いてしまう――。現代の高齢者が直面している「ゆとりなき老後」の実態をみていきます。
年金夫婦で月24万円・都内近郊70歳男性「1杯300円の立ち食い蕎麦」でも贅沢。ごく中流でも「生活苦」という酷い現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

「平均的な年金」という安全神話の崩壊…統計が示す「ゆとりなき老後」の正体

小林さん夫婦が直面している状況は、個別の家計管理の問題というより、今の社会の仕組みそのものが抱える限界が露呈したものといえます。

 

内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、日々の生活について「家計にゆとりがあり、まったく心配ない」と回答した人はわずか11.6%。これに対し、約半数に近い47.3%の高齢者が「家計にゆとりがなく、心配である」と回答しています。厚生労働省が示す標準的な年金額を受給していても、その額が実際の生活維持コストに対して十分ではない実態が浮き彫りになっています。

 

さらに「経済的な不安を感じる理由」として最も多く挙げられたのは「物価の上昇(82.8%)」、次いで「医療費・介護費の負担(52.4%)」でした。年金額の改定が物価変動に完全に連動しない「マクロ経済スライド」等の仕組みにより、実質的な購買力が低下していることが、家計を圧迫する直接的な原因となっています。

 

小林さんを追い詰めた急な支出への対応力についても、不安な実態が数字に表れています。同調査で現在の貯蓄額を尋ねたところ、「100万円未満(貯蓄なしを含む)」と回答した世帯が25.0%にのぼりました。

 

日々の生活費で手一杯な世帯にとって、貯蓄額が100万円を切っている状況では、マンションの修繕積立金の急な値上げや、冠婚葬祭といった数万円単位の出費さえも、家計を破綻させる直接的な引き金になりかねません。

 

「平均的な年金」を受給していても、インフレや固定費の増大によって、生活の継続自体が困難になる――。これが現在の高齢社会の現実なのです。

 

 

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