年金の金額はほぼ同じでも、定年後の選択によって老後の生活は変わります。完全リタイアした人、再雇用で働き続けた人、スキルを活かして独立した人。同じ会社で働いていた3人の元同期が65歳になって再会したとき、それぞれが直面していた現実は大きく異なっていました。給付直後の年金額は一定でも、働き方や準備の違いが将来の安心度を左右する時代、長く働き続ける人が増え続けています。さまざまな老後の生き方があるなかで、あなたはどんな生き方を選びますか? 今回は、Aさん・Bさん・Cさんの話から、定年後の選択と老後格差の実態についてFPの川淵ゆかり氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
「これからはのんびり生きるよ」お金には困らないはずだったのに…5年間遊んでいた無職の65歳元会社員、元同期との飲み会で知った“59歳のねんきん定期便”では見えなかった老後の現実【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「働き損」は本当?年金制度の勘違い

B:「なんか若いときに思っていた老後とは、ずいぶん変わっちゃったよなぁ」

 

C:「若いときというか、ここ5年くらいで世の中が大きく変わってないか?」

 

3人は同じ会社で働いていたときのことを思い出しながら、これからの暮らし方について語り合います。

 

A:「Cもまだ働くの? 僕は5年も遊んでたからいまさら仕事する気にはならないなぁ」

 

C:「働くよ! 退職金で自宅を事務所付きにリフォームしちゃったからね。それに、夫婦のどちらかが寝たきりになったらあれっぽっちの年金じゃ厳しいだろ」

 

B:「そうだよ、Aは甘いよ。老人ホームなんてこれから先いくらかかるかわからないんだぜ。うちの母親も入居しているけど食費やら入居費やら、もう何回も値上がりしてるよ」

 

A:「だって、働いたって年金カットされるんだろ。働き損じゃないか」

 

B:「カットされるのは年収が高い奴ばっかりだよ(※2)。俺みたいに低いと、カットなんかされないよ」

 

※2 在職老齢年金制度:年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く人を対象に、収入が支給停止調整額を超えた場合に年金の一部または全部の支給が止まる仕組みです。2026年(令和8年)4月からは、支給停止調整額(老齢厚生年金の「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計)が「65万円」となります。

 

A:「えぇ? カットされないの? それなら僕も再雇用で働いておけばよかったかな……。Cは年金カットされるの?」

 

C:「僕はフリーランスだからね。厚生年金に入ってないからカットされないよ(※3)。だけど、いまは収入で十分食べていけるし、年金までもらったらただでさえ大きな社会保険料がまた増えちゃうから繰下げ受給(※4)にして老後に少しでも増やそうかな、とは思ってるんだ。Bがいうとおり老人ホームなんてピンキリだし、将来はいくらかかるかわからないしね。あと5年は働きたいんだけどな。生き残れるかなぁ」

 

※3 ※2で説明したとおり、年金カットは厚生年金に加入している人が対象ですので、自営業者等はいくら稼いでも年金がカットされることはありません。

 

※4 繰下げ受給:65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で受給を遅らせることで年金額を増やすことができます。1ヵ月遅らせるごとに将来の受給額が0.7%ずつ、1年で8.4%が加算されることになります。70歳からの受給なら42%増え、上限の75歳から受給すれば84%も増やすことが可能です。

 

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