行政手続きの効率化や給付金の迅速な支給を目的として、「マイナンバー」と「公金受取口座の登録・連携」が進んでいます。しかし、この仕組みが介護保険制度などの資産判定にどのような影響を及ぼすのか、その詳細まで把握している人は多くありません。ある夫婦のケースから、私たちが知っておくべき「資産把握の仕組み」と、制度運用の実態についてみていきます。
預貯金2,200万円で対象外に…「マイナンバー口座連携」で発覚。特養入所72歳夫の負担が「月2万円増」になった理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

マイナンバー制度の仕組みと思わぬ落とし穴

内閣府『マイナンバー制度に関する世論調査』(2023年)では、「内容まで知っている」と回答した人は約32%にとどまっています。一方、「聞いたことがある」を含めた認知率は約90%に達しており、制度の存在と理解の間に差がある実態が示されています。

 

こうした中で進められてきたのが、金融口座との連携です。これは給付金の迅速な支給や行政手続きの簡素化を目的に導入され、金融機関も案内を行ってきました。

 

一方、介護保険制度における補足給付では、所得だけでなく預貯金も判定基準に含まれます。配偶者がいる場合は夫婦合算で資産が評価され、一定額(目安として約2,000万円)を超えると軽減措置の対象外になるケースがあります。なお、単身者の場合は基準が異なり、目安として約1,000万円が1つのラインとされています。

 

今回のケースでは、合算で2,200万円の資産があったため、この基準を超過したことになります。制度自体は以前から変わっていませんが、資産の把握がより正確になることで、同じ生活状況でも判定結果が変わる可能性があるのです。

 

口座連携は利便性の向上というメリットがある一方で、その影響範囲まで十分に理解されていないケースも少なくありません。制度の内容と自らの状況を照らし合わせて把握することが、今後ますます重要になっていくといえます。