大学進学のために借りた奨学金。手取り19万円のなかから毎月やりくりして返済していたものの、ある月の「うっかり残高不足」による引き落とし不能から油断が生じ、数ヵ月放置してしまったSさん(23歳)。見知らぬ番号からの着信も無視し続けていた結果、新しいクレジットカードの申し込みで「審査落ち」に。軽い気持ちで奨学金の返済を放置したことで、社会的信用にキズをつけていた可能性に気づき、後悔する20代男性の事例を紹介します。
「最初はうっかりで…」手取り19万円・23歳サラリーマンが、奨学金“3ヵ月滞納”で〈失ったモノ〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

奨学金延滞の背景にある「若年層の生活苦」

日本学生支援機構(JASSO)の最新のデータによれば、奨学金の返還を3ヵ月以上延滞している人の割合は一定数存在します。その最大の理由は「本人の低所得(62.8%)」で、次いで「本人の借入金(日本学生支援機構奨学金以外)の返済(34.5%)」となっています。

 

物価や社会保険料は上昇を続けています。手取り19万円の若手社員にとって、毎月1万5,000円前後の固定支出は家計の大きな負担となります。Sさんのように、悪意なく「お金が足りない」という理由から引き落としができず、そのままズルズルと滞納してしまうケースは十分に考えられるでしょう。

 

しかし、奨学金は金融機関のローンと同じ扱いです。3ヵ月以上の滞納が続くと個人信用情報機関に登録され、クレジットカードの新規発行や住宅ローン、マイカーローンの審査に通らなくなるリスクが高まります。将来のライフイベントに悪影響を及ぼしかねないので、「数ヵ月なら大丈夫だろう」という自己判断は危険です。

 

もし経済的に返還が難しくなった場合は、放置せずに機構の窓口へ相談しましょう。一定の収入基準を下回っていれば、最長で通算10年まで返還を待ってもらえる「返還期限猶予」などの救済制度が用意されています。電話を無視して事態を悪化させる前に、自ら制度を利用して身を守る行動が求められます。

 

[参考資料]

日本学生支援機構(JASSO)「令和6年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」

日本学生支援機構(JASSO)「奨学金事業に関するデータ集」