(※写真はイメージです/PIXTA)
質素倹約を貫いた82歳母…遺品整理で出てきた貯金通帳
佐藤和夫さん(56歳・仮名)は、82歳で死去した母・幸子さん(仮名)の四十九日法要を終え、実家の遺品整理を行いました。幸子さんは10年前に夫を亡くして以降、郊外にある築45年の木造平屋建てで一人暮らしをしていました。生前の幸子さんの生活は、月額15万円の公的年金の範囲内で送られていたといいます。
和夫さんが帰省する際、幸子さんは「電気代がもったいない」という理由で、夏場もほとんどエアコンを使用せず、冬場はこたつのみで過ごしていました。和夫さんが家電の買い替えや外食を提案しても、幸子さんは「お金がもたない」「将来が不安だ」と拒否。かといって、和夫さんの仕送り提案も受け入れませんでした。「親として子どもに頼りたくないのだろう」と考え、和夫さんも母の生活に無理に干渉しないようにしていたそうです。
しかし、遺品整理中に仏壇の引き出しから発見された3冊の銀行通帳には、和夫さんの推測を大きく覆す記録が残されていました。3つの口座の残高を合算すると、合計で6,000万円に達していたのです。
「どんだけ貯めこんでいるんだよ」
さらに通帳の印字を確認すると、幸子さんは亡くなる直前まで、毎月の年金から3万円から5万円を継続的に貯蓄に回していました。
「あんな質素な生活をしていた母からは想像すらできない貯蓄額で……。思わず二度見するほどでした」
室内には、端切れを縫い合わせて補修された衣類や、30年以上前に製造された冷蔵庫、吸水性の失われた古いタオルなどが並びます。和夫さんが以前贈った未使用の寝具や衣類は、押し入れの奥で梱包されたままの状態でした。
「母は6,000万円もの預貯金がありながら、夏は暑い室内で過ごし、スーパーでは賞味期限切れ間近の『おつとめ品』ばかり買って節約していました。一人暮らしを続けるのも不安だろうから、いずれは施設に入るのだろうと思っていましたが、『自分の家がいい』とそんな素振りも見せず、お金のかかる趣味もなかった。なぜこれほどの資産を抱えながら、最低限の生活水準を維持することに固執したのか。その理由は結局わかりません」
幸子さんが亡くなり、相続人は和夫さん一人だけです。預貯金6,000万円と、幸子さんが長年過ごした自宅は和夫さんのものとなりました。遺品整理で残った形見も、修繕の跡が残るものばかり。極度な質素倹約を貫いた母に対し、「本当に人生、満足だったのだろうか」という疑問が消えないと和夫さんは語ります。
【THE GOLD ONLINE おすすめの会員限定記事】