2026年3月9日、週明けの日本市場を襲ったのは、文字どおりの「激震」でした。イラン情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の封鎖。これを受け、原油価格の暴騰から日経平均株価は一時4,200円超という歴史的な急落をみせ、終値は、前週末比2,892円12銭安の5万2,728円72銭となり、過去3番目の下げ幅を記録しました。為替は1ドル=158円台まで円安が加速。さらに債券価格も下落するという、「トリプル安」に見舞われました。この急変は、家計にも“数ヵ月後に確実に響く”性質を持っています。イラン情勢を巡り紛争の長期化が警戒されるなか、私たちの家計にどのような影響を与えるのか。いまなにが起きているのか、そして私たちはどう備えるべきか。FPの川淵ゆかり氏が紐解いていきます。
【イラン攻撃】日経平均過去3番目の2,892円安を記録。3~4ヵ月後に「本格化する物価高」、原油暴騰で夏の電気代は過去最高に? (※写真はイメージです/PIXTA)

迫り来る「2029年問題」とスキルの淘汰

企業は業績が悪くなると、採用を控えたり早期退職を実施したりと、人件費のカットに着手します。最悪、倒産まで追い込まれる企業も出てくるかもしれません。どちらにせよ、こういった場合、従業員は転職や再就職という道を取らざるを得なくなるでしょう。

 

イラン情勢悪化などの地政学リスクにおいては、サイバー攻撃のリスクも高まります。企業側としては、収益悪化や他社との競争から、DXやAXなどのビジネスモデルの変革を迫られることも。ここで差がつくのが、雇われる側の「ITスキル」です。セキュリティやITスキルを持つ人間が、今後は一層有利となります。

 

中高年の場合、危惧すべきはITスキルのある若手と職場を奪い合う可能性が高まることです。特に2029年は、高校での「情報I」科目の必修化でプログラミングやデータ分析、セキュリティやネットワークなどを学習した若手が大学を卒業して一斉に社会に出てくる年。年々「ITスキルはあって当たり前」という時代に変わっていきます。さらに2029年は、変動金利型ローンの5年ルールである猶予期間が終了し、返済額がアップする年でもあります。今年以降の収入ダウンや物価上昇が家計に大きく響く可能性は否定できません。

 

いま、取り組むべき「生存戦略」

企業と個人、それぞれでいますぐ取り組むべき対策を挙げていきます。

 

〈企業が取り組むべき対策〉

◎従業員の家計・経済リテラシー教育

◎IT基礎教育&プログラミング実践スキル教育

◎現場主導の小さなDX改善プロジェクト

 

〈個人でできること〉

◎固定費の徹底見直し

◎「個人の強み」の再定義

 

エネルギーコストや原材料コストが嵩むなか、企業は従業員と一丸となってこの問題を乗り越える必要があります。従業員に地政学リスクが家計に与える影響や、企業の現状をわかってもらうための経済リテラシー教育やビジネスモデルの変革、地政学リスクに対応するためのITスキル教育は重要です。企業DXが7~8割が失敗するといわれるなか、外部主導ではなく現場主導によるビジネスモデル改善を成功させなければなりません。

 

家計としては、固定費の見直しや金利動向のチェックなど、早めの対策が重要になりますし、収入を維持し続けるためにも企業に求められる自身の“強み”を再確認してみてください。

 

日本経済が半世紀ぶりの転換点を迎えるいま。足元の地面が崩れる前に、自らの足で立ち続けるための知恵とスキルを蓄えましょう。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表