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限界を迎える前に知っておきたい「同居介護の真実」
前述の佐藤さんのケースに見られる同居介護の限界は、現在の日本において統計的に裏付けられた社会課題です。
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」によると、主な介護者のうち同居している者は45.9%を占めています。これらの同居介護者のうち、日常生活での悩みやストレスが「ある」と回答した割合は、男性で53.9%、女性では63.8%に達しています。
悩みやストレスの原因(複数回答)として最も多いのは「家族の病気や介護」(71.2%)であり、次いで「自分の病気や介護」(29.3%)となっています。家族間の善意に基づく同居が、介護者の健康を損なうリスクを孕んでいるといえるでしょう。
一方で、高齢者自身の意識も変化しています。内閣府「令和5年版 高齢社会白書」によると、60歳以上の者が「子どもとはどのように暮らすのがよいか」という問いに対し、「時々会って食事や会話をするのがよい」と回答した割合は48.8%に上り、過去の調査と比較しても上昇傾向にあります。
今の高齢者層において、「子どもに頼り切る生活」よりも、「自分の好きな時間に起き、好きなものを食べる」といった自分自身の生活ペースを維持することを優先したいという意識が広がっていることが伺えます。
こうした問題の解決策として、行政や専門機関は、介護を家族だけで抱え込まず社会全体で支える「介護の社会化」を推進しています。
株式会社LIFULL senior/LIFULL 介護『介護施設選び経験者の実態調査2026』によると、施設入居を検討した最大の理由は「歩行、運動機能の低下」(43.3%)であり、次いで「認知機能の低下」(35.1%)となっています。
また、入居時の要介護度については「要介護2以下」が35.6%を占めています。これらの層は、身体機能の低下を契機として、重症化する前にプロのケアを導入し、本人の安全と家族の生活維持を両立させようと判断しているといえるでしょう。
公的な解決指針としても、地域包括支援センター等を通じて早期に外部リソースを検討することが推奨されています。家族が「介護」という役割をプロに委ね、本来の「家族」としての関係に戻ることこそが、現代における共倒れ防止の有効な手段となっているのです。
[参考資料]