非正規雇用で老後の生活に不安を覚える一代さん(仮名・55歳)。貯金1,500万円が底をつくことを恐れ、生活費を抑えるために500万円で地方の格安物件を購入し、単身移住を決断しました。しかし、車社会での不便な生活や、病気で寝込んだ際に誰も気づいてくれない孤独と恐怖を痛感することに。安易な決断を後悔し、わずか2年で都市部へ戻って生活することになった50代女性の事例を紹介します。
このまま私が倒れても…〈貯金1,500万円〉55歳女性の絶望。家賃の安さを求めて「単身での地方移住」も、インフルエンザで悟った〈悲惨な老後〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

地方移住の相談数は増加も、離脱の最大の原因は「環境の変化」

ふるさと回帰・移住交流推進機構のデータによれば、2025年の「ふるさと回帰支援センター・東京」の窓口相談において、女性の相談者が拡大傾向にあることが報告されています。とくに20代など若い世代から、結婚前におひとり様で堅実な生活設計を立てるために移住相談に訪れるケースが増加しています。単身女性にとって、移住はライフプランの現実的な選択肢になりつつあることがうかがえます。

 

しかし、単身での移住には特有のリスクが伴います。イエコン(株式会社Clamppy)の調査データを見ると、地方移住をやめた人の約70%が「3年以内」に見切りをつけており、そのうちの29.8%が「1~2年」で離脱しています。また、同調査では「地方生活をやめた理由」についても調べており、「生活環境の変化に対応できなかった(12.7%)」がもっとも多くの意見として挙げられていました。

 

一代さんのように、自分を助けてくれる家族が同居していない単身者の場合、移動手段が限られることや買い物が不便なことは、体調不良時にそのまま「命の危機」や「深刻な孤立」に直結します。安易に物件価格の安さに飛びつくのではなく、医療機関へのアクセスや日常の買い物のしやすさといった「生活を守るインフラ」を最優先に見極めることが、単身での地方移住の鉄則といえるでしょう。

 

[参考資料]

イエコン(株式会社Clamppy)「【地方移住】やめた人の7割が3年以内で離脱!地方移住成功の秘訣とは?(https://iekon.jp/column/survey/32857)」

 

ふるさと回帰・移住交流推進機構「2025年「ふるさと回帰支援センター・東京」の窓口相談者が選んだ移住希望地」