定年後も続く住宅ローンは多くの世帯にとって看過できない課題です。完済予定が70代後半に及ぶケースも珍しくありませんが、現役時代と同様の返済計画が老後家計の首を絞めることもあります。ある男性のケースをみていきましょう。
悔やんでます…退職金2,000万円あるのに「一括返済」しなかった月収28万円・62歳男性の誤算。住宅ローン79歳完済の現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢期まで続く住宅ローン、家計に潜む「リスクの正体」

総務省『家計調査 貯蓄・負債編 2024年平均』によると、世帯主が60~69歳の二人以上世帯のうち、2014年以前に住宅購入した60代が抱える負債額は平均233万円。そのうち、住宅ローン(住宅・土地のための負債)は平均199万円です。

 

50代平均が負債全体で平均686万円、住宅ローンが平均621万円ということを考えると、60歳定年時に1,200万円の住宅ローンがあった山中さん夫婦の家計は、老後を見据えて暗雲が漂っていたといえるでしょう。

 

【2014年以前に住宅を購入した60代の家計】

■ 年間収入…609万円

■ 貯蓄…2,760万円

(内訳)

・通貨性預貯金…904万円

・定期性預貯金…811万円

・生命保険など…500万円

・有価証券…509万円

■ 負債…233万円(そのうち、住宅ローンは199万円)

 

マンション居住者の場合、昨今、追い打ちをかけているのが「維持費の上昇」です。国土交通省『令和5年度マンション総合調査』によると、一戸あたりの月々の修繕積立金の平均額は1万3,054円ですが、完成年次が古いマンションほど積立金額を引き上げる傾向にあり、老後の固定費増大を招く要因となっています。

 

こうした事態を防ぐための解決策は、金利と家計の「出口戦略」を早期に確定させることです。住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査(2024年)』では、変動金利型の利用者は8割弱で、金利上昇局面では高齢期ほど元本が減りにくいリスクを負います。

 

老後資金を減らす恐怖から一括返済を躊躇する場合でも、50代のうちに教育費の目処が立った段階で「期間短縮型」の繰り上げ返済を行い、完済年齢を「年金生活が本格化する70歳手前」まで前倒ししておくことが、家計の自由度を確保する現実的な防衛策となります。