(※写真はイメージです/PIXTA)
突然の「子育て卒業宣言」の真相
「お母さん、もう子育てやめるわ」
――遡ること8年前。リュウセイさんが中学2年生になったばかりの春、母・ミホさん(当時39歳)は突然家族を集めてそう宣言しました。
母はフルタイム勤務の正社員で、月収は35万円ほど。共働きで、父もフルタイム勤務でしたが、家事はミホさんが1人で担っていました。
翌朝から、母は本当に家事をやめました。お弁当も作らず、洗濯も自分の分しかしません。朝、かろうじて白米だけ炊いてくれるものの、出勤時間になったら家を出てしまいます。
「ヒカルの親もコウキの親も毎日お弁当作ってるよ! お母さんもやってよ! もとに戻ってよ!!」
リュウセイさんは中学2年生なりの反論で、友人の親を引き合いに出し、必死に泣きつきましたが、ミホさんは「お母さんにだってお母さんの人生があるの」と一蹴。父に助けを求めても「まあ、ストレス溜まってるんじゃないか」となだめることしかしてくれません。
俺、弁当作れるじゃん…仕方なく踏み出した「自立への一歩」
どうしようもなく、ご飯にふりかけをかけただけのお弁当をこしらえたり、お小遣いでコンビニの惣菜パンを買ったりして凌いでいましたが、しだいに惨めに思うようになりました。少しだけ早起きして、記憶を頼りに「卵焼き」を作り、ウインナーを炒めてお弁当箱に詰めます。冷凍庫にあった冷凍食品を詰めると、それらしい見た目に。
「なんだ、俺、弁当作れるじゃん」
焦げた不格好な卵焼きは味がしませんでしたが、達成感からか不思議とまずくはありませんでした。徐々に夕飯の残りを取り置くことを覚え、おかずカップやピックなど彩りをよくするお弁当グッズの知識も身に付き、高校生になるころには立派なお弁当を20分で作れるようになっていました。
洗濯も、制服のワイシャツへのアイロン掛けも、自分自身で行います。父もそんな息子の姿を見て一念発起したのか、掃除や夕飯づくりを担当してくれるように。一方の母は、家事を手放した時間で資格の勉強に励み、憧れの企業に転職。新たなキャリアをスタートさせていました。