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高齢者世帯における「臨時収入」の光と影
相続や退職金といった、人生の後半で手にする「まとまった資金」の管理は、想像以上に困難を極めます。
警察庁によると、2025年の「特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺」の認知件数は42,900件。そのうち、60歳以上の被害は16,089件で、全体の37.5%を占めています。かつての対面型や電話勧誘だけでなく、デジタルツールを介した巧妙な手口で、退職金や相続直後の高齢層が狙われています。
また、国民生活センターの発表(2025年)によると、2024年度の消費生活相談において、契約当事者が65歳以上の相談件数は30万4,130件に達し、前年度から約2.6万人も増加しました。相談全体に占める高齢者の割合は38.6%となり、2020年度以降で最高数値を記録しています。
日本証券業協会が実施した『証券投資に関する全国調査(2021年)』では、証券保有者のうち「有価証券の購入経験が1回のみ」または「ほとんどない」層が一定数存在することが示されています。このように十分な投資経験やリテラシーがない高齢層が、相続等で突如として数千万円単位の資産を手にし、リスクを十分に理解せずに金融商品を購入したら――。その結末は想像に難くありません。
重要なのは、資産が急増したときこそ「月々の生活費(ランニングコスト)」を絶対に動かさないという意志です。相続や臨時収入で手にしたあぶく銭は、使い切ればなくなります。
しかし、一度贅沢に慣れてしまった「膨らんだ生活習慣」は、お金が底をついたあとも簡単には戻せません。資産が枯渇しても、高くなった食費や維持費だけが残り続け、結果として本来の年金生活を破綻させることになるのです。