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長寿社会における「老後資金」の真実
生命保険文化センター『2024年度 生命保険に関する全国実態調査[2人以上世帯]』によると、介護期間の平均は55.0カ月(4年7ヵ月)となっており、住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円となっています。
これらはあくまで平均値であり、事例のように民間施設への入居を選択した場合、負担は一気に跳ね上がります。公益社団法人全国有料老人ホーム協会の資料等によれば、都心部の介護付有料老人ホームの入居一時金は数百万円から数千万円に及び、月額利用料も20万〜30万円を超えるケースは珍しくありません。
また金融経済教育推進機構『家計の金融行動に関する世論調査 2025年』によると、遺産についての考え方として、最多は「老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐか等に関わらずこどもに財産を残してやりたい」で31.8%。一方で、「こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい」が16.2%。そもそも資産を残す気がないケースも珍しくはありません。
一方で、健一さんのように「親を頼る」気持ちもわかります。世帯主50代世帯の平均借入額(借入金のある世帯)は平均1131万円。老後を前にして、まだ多くの借入金を抱えています。そのような状況を反映してか、「老後の生活について不安である」と回答した50代は84.0%にものぼります。親が資産をもっている(もっていそう)なら、あてにするのが当然ともいえます。
ただ健一さんが目にした「3000万円」、一見多額に見えますが、長生きリスクを考慮すれば、決して余裕のある額ではありません。親が「自分のために使い切る」ことは、子を介護離職や経済的困窮から守るための親心といえるでしょう。
親の資産を期待するのではなく、まずは自身の資産形成(新NISAの活用等)に注力し、親の資産は「親が最期まで誇りを持って生きるためのもの」と考える――将来の親子共倒れを防ぐ有力な解決策といえるでしょう。