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受給額「月31万円」だったが、手元に残るお金は期待以下
神奈川県在住の佐藤正雄さん(72歳・仮名)は、大手メーカーを定年退職後も、専門スキルを活かして72歳までフルタイムで働き続けてきました。独身で身軽だったこともあり、「働けるうちは働き、年金は限界まで増やそう」と考えたのです。
「65歳時点での年金見込み額は月20万円ほどでした。十分な額ですが、72歳まで受給を遅らせれば1.5倍の30万円になる。さらに、厚生年金に加入して働き続けたことで、最終的な受給額は月31万円(額面)を超えました」
日本の年金受給者のうち、月額30万円を超える層はわずか0.1%未満。何の不安もない老後を迎えるはずでした。しかし、受給開始と同時に佐藤さんを襲ったのは、想定外の「持病の悪化」と「重い社会保障負担」でした。
「現役並みに稼いでいたせいで、介護保険料や国民健康保険料が跳ね上がりました。さらに、長年の無理がたたって糖尿病を悪化させ、心疾患まで見つかった。いざ通院を始めると、『3割負担』は重くて……」
本来、70歳から74歳の医療費負担は原則2割ですが、現役並みの所得(単身世帯で年収約383万円以上)がある佐藤さんは3割負担が適用されます。
「せっかく繰下げて年金を月11万円も増やしたのに、増えた分の多くが税金、保険料、そして高額な医療費に消えていきます。周りの友人は多くが2割負担。1割の差が恨めしいです」
仕事を辞めたら、もっと好きなことができる。少しは贅沢をしても余裕だろう――思い描いていた老後は、実現しませんでした。
「年を取れば、誰もが病気になるでしょう。それまで短い間かもしれないけれど、仕事を頑張ってきた分、ぱーっと楽しもうと思っていたんですが……。年金が増えても、何も得した気分になれません」