サラリーマンにとって、人生の大きな転換点である「定年」。契約形態を変えてそのまま会社で働き続ける人、仕事を辞める人、新天地を求める人――。その後の人生はさまざまですが、なかには現役時代とは異なる形で新たな価値を生み出す人もいます。ある男性のケースを見ていきましょう。
ついにこの日が来た!「退職金2,100万円」の60歳男性、定年後に受け取った「3万円」に震えたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

「長年の経験」が中小企業の不足を補う

佐藤さんのように、定年後に「業務委託」という形で収入を得るケースは、国の施策とも合致しています。中小企業庁『中小企業白書』によれば、多くの中小企業が「専門知識や経験を持つ人材の不足」を経営課題に挙げています。特に、営業の仕組みづくりや若手の指導といった「実務の型」を持つシニア層は、即戦力の外部アドバイザーとして需要が高まっています。

 

内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によると、現在仕事をしている高齢者の約22.4%が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。また、就労理由については「収入がほしい」という経済的理由に次いで、「働くのは体によいから、老化を防ぐから」「自分の知識・能力を活かしたい」といった項目が上位を占めています。

 

佐藤さんが感じた「3万円の報酬への感動」は、まさに自分の経験が社会に再評価されたことへの喜びといえるでしょう。厚生労働省が推進する「生涯現役社会の実現」に向けた指針では、定年後の働き方は「再雇用」だけでなく、起業やフリーランス(業務委託)といった多様な形態が想定されています。

 

同省の『高年齢者雇用状況等報告』では、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となっており、組織を離れても「個人のスキル」を市場に提供しやすい環境が整備されつつあります。