(※写真はイメージです/PIXTA)
身体中をきれいに拭く「清拭」
ここからが看護師の腕の見せどころ。ご家族や親族の方と一緒にすることもある、清拭(せいしき)とお着替えです。
まずは、身体中をあたたかいタオルできれいに拭いていきます。頭もお下も、すべてを。衛生面を考慮するのと同時に、お清め的な意味合いも含まれているのではないか、と個人的には捉えています。
ご遺体はどんどんかたくなる…清拭とお着替えは素早く行う
ご遺体の管理のしやすさを考えると、亡くなってから早く清拭をするほうがいろいろ都合がいいと思っています。仮に血液や体液が皮膚に付着していたとしても、落としやすいから。
あとは、筋肉や関節の硬直ですね。サスペンスドラマなどで、死後硬直の話が出ることもあると思いますが、アレです。ご遺体は、どんどんかたくなっていきます。着替えをさせるにも、口の中をきれいにするにも、可動域が広いほうが処置がしやすいので、できるだけ早く処置を始めたい、そして終えたいというのが看護師の本音です。
次に、保湿。保湿は、手持ちのクリームやワセリンなどを塗布することが多いです。たとえが適切ではないかもしれませんが、お刺身もラップをかけずに冷蔵庫に入れておくと乾燥して色も悪くなっていきますよね。あんな感じです。さっきまで生きていた患者さんも、亡くなってしまうと腐敗が進んでいくご遺体になってしまいます。皮脂を分泌することも代謝が発生することもありませんから、できるだけ早く保湿し油分に代わるもので肌に蓋をしてあげたいんです。
本人や家族の意向があれば、「お気に入りの服」が着れる
そして、お着替え。予期された死ではない場合は、病院にある普段とは別の浴衣を着てもらうことが多いです。しかしながら、たとえば長らくがんを患っており、本人や家族から最期に着せてほしい服が決まっている場合には、そちらを選びます。
それから、元気なときにはちょうど良かったお洋服も、療養で痩せたりむくんでしまったりして、身体と合わないなんてことも出てきます。そういうときは、洋服の下にタオルをいれてふくよかに見せたり、腰回りや見えないところをご家族の了解を得てハサミをいれて着ているように見せたり、いろいろと工夫をします。
スーツやチマチョゴリを着させることも
同業者に聞いた話ですが、韓国の方が亡くなった際にチマチョゴリを着させて欲しいと言われたときには戸惑ったと言っていました。わたしも、和服は祖母の影響もあり慣れているんですが、他国の民族衣装までは……という感じです。男性のスーツも苦手。自分が着慣れていないものを相手に着させるのは、やはり場数が必要なんでしょう。
ここのプロセスは、生前より続く御本人の尊厳を保つこと、本人らしく見せることがなにより優先されると、個人的には考えています。