結婚目前、婚約者に特別な事情があることを知ったとき、そこには想像もしないハードルが立ちはだかります。実例をみていきましょう。
「実家のことで、話しておきたいことがあって」月収42万円の29歳男性、月収24万円の28歳婚約者から明かされた驚愕事実。その後、〈将来の義兄〉と初対面した食事の席で腰を抜かしたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

「特殊な実家」がもたらすリスク

「世界遺産」や「文化財」と聞くと素晴らしいものに思えますが、現実の所有者にとっては、経済的にも精神的にも重い負担を強いられるケースが少なくありません。

 

伝統的建造物群保存地区や世界遺産に指定されているエリアの住宅は、景観を守るために極めて厳しい条例やルールが敷かれています。「屋根の形を変えてはいけない」「現代の安い建材(アルミサッシやスレート屋根など)を使ってはいけない」といった制限があるため、修繕には特殊な技術を持つ職人と材料が必要になり、一般的な住宅の何倍もの費用がかかります。補助金制度はありますが、全額がカバーされるわけではなく、数百万円〜数千万円の自己負担が発生するのは珍しいことではありません。

 

ユウさんの事例は「実家が国の文化財」という特殊なケースにみえるでしょう。しかし、問題の本質は「維持費がかかりすぎる実家(負動産)」と「家族間での資金援助の強要」です。これは、多くの夫婦が直面しうる非常に身近なトラブルです。

 

地方にある広大すぎる実家や、老朽化が進む空き家、あるいは親の無計画なリフォーム費用など、結婚相手の実家が抱える「見えない負債」が、新しい家庭の家計を直撃するケースは少なくありません。通常の不動産であれば売却して手放すことも可能ですが、地方の古い家は買い手がつきにくく、結果的に「親族の誰かがお金を出して維持し続けるしかない」という泥沼に陥りがちです。

 

ここで厄介なのが、「実家を守るためなのだから、離れて暮らす兄弟もお金を出すのが当たり前」という身内ならではのプレッシャーです。今回の義兄のように、実家に住んでいない兄弟に対しても、屋根の修繕費や固定資産税などを「家族の義務」として請求されるケースは珍しくありません。相手が親や兄弟であるため無碍に断れず、結果として自分たちのマイホーム購入や子育てといったライフプランが根底から破綻してしまうのです。

 

万が一、実家から多額の資金援助を求められたとき、配偶者は「自分たちの新しい生活」を優先するのか、それとも「実家を支えること」に重きを置くのか。これ自体に良い・悪いはなく、それぞれが持つ家族観の違いにすぎません。しかし、この価値観が夫婦間で決定的にズレていると、家計やライフプランに大きな溝を生むことになります。家族愛の裏に隠された「実家リスク」に対し、お互いがどこまでなら許容できるのか。入籍前に腹を割って話し合っておくことこそが、将来の自分たちを守る最大の防衛策といえるでしょう。